湧き出る清水 その2
川の流れは、水の流れです。
川と言うと、昔からずっとそこにある、水の流れのことです。
同じ形で流れていても、その形を作る水自体は、瞬間瞬間で変わっています。
それが川の流れです。
水の流れが川という形を作るので、見かけの川の形は同じでも、そこを流れる水は、常に変化しているのです。
この水の流れが変わると、どうなるでしょうか。
当然、川の形は変わってしまいます。
水量が減ると、川は痩せ細ります。
水量が増えると、川は氾濫してしまい、どこが川なのかがわからなくなります。
あるいは、岸壁を押し流してしまい、川の形が変わってしまいます。
水量が同じでも、水の質が悪くなると、腐敗臭が漂う、ドブ川になるでしょう。
生き物が棲むことのできない、死の川になるのです。
私たちの心も、川と同じです。
自分という意識は、川の形です。
意識が活動できるのは、川が流れているのと同じです。
どんな思考をするのかは、川を流れる水量や水質によって異なって来ます。
ところで、川の水はどこから来るのでしょうか。
それは山に湧き出る清水、あるいは地面から清水が湧き出た泉の水が、流れて来るのです。
つまり、元はとても純粋な水なのです。
それと同じで、私たちの心も、元々は純粋なエネルギーで、創られているのです。
湧き出た水が川となって流れていると、その途中に、いろんな物が水に混ざり込みます。
それは微生物であったり、生き物の排泄物だったり、山の土や砂だったり、落ちて来た葉っぱや埃だったりです。
でも、大抵のものは、川の質を汚すことにはなりません。
川には自浄作用があるからです。
しかし、川の近くに人が住み、生活排水や工業廃水を流し込むと、川はダメージを受けてしまいます。
その汚れが川の自浄作用を超えると、川は誰も寄りつかない、汚い川になるでしょう。
工場や自動車が出す排気ガスなどの大気汚染により、降り注ぐ雨までもが汚染されてしまうと、これも川を汚す大きな原因になります。
川にたとえた人の心も、これと同じことが起こっています。
本来のきれいな心を汚すような、様々なゆがんだ価値観や情報が、世の中に蔓延しています。
それが知らず知らずに、心の川の中に混じり込み、人々の心は本来とは異なる、自分勝手な醜いものに、変わってしまうのです。
その結果、喧嘩から戦争までの多くの争いや、思いがけない病や事故、異常気象に伴う自然災害などを、引き起こすのです。
みんな、自分の心の川が、ドブ川になっていることに気づきません。
多くの人が同じ考えを持っていると、そのことに気づきにくいのです。
でも、それでいいとは言えませんよね。
人は元の美しい心の川を、取り戻さなければなりません。