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物語と人生 その1

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人生とは物語を読むようなものです。

ここに一冊の本があるとします。

中には、あなたの誕生から死までの、物語が書かれています。

あなたは自分の人生が書かれた本を、初めのページから順番に、読んで行きます。

あなたの目がとらえているのは、常にどこか一点です。

本の中に描かれている、壮大な物語の中の、一点だけがあなたの意識に上ります。

一度目を通した部分は、記憶としてとらえられ、まだ目を通していない部分は、未知の未来ととらえられます。

でも、全ては本の中に描かれています。

それがあなたにとって、楽しかろうとつらかろうと、そんなことにはお構いなく、物語は進んで行きます。

そのまま物語の終わりまで突き進み、結局自分の人生とは、何だったのかと考えることになるかもしれません。

この、何だったのか、と考えることが、とても大切なことなので、何とつまらない人生だったのかと、思うような人生であったとしても、一つも無駄にはなりません。

物語を読み終えたから、それでおしまいというわけではなく、一つの物語が終わったら、今度は別の物語を始めるのです。

その時に、前の物語を読み終えた時の感想が、とても参考にされるわけです。

自分の人生は何だったのかと、考えることができたなら、次の物語を選ぶ時に、慎重になるでしょう。

貧乏で苦労した人は、お金持ちになる物語を、選ぶかもしれません。

力が弱くて苦労した人は、喧嘩が強い力自慢の人になる物語を、選ぶかもしれません。

誰にも注目されなかった人は、みんなから注目される物語を、選ぶかもしれません。

男だった人は、女になるかもしれませんし、女だった人が、男になるかもしれません。

あるいは、そのどちらでもないような物語を、選ぶかもしれません。

若くして亡くなった人は、とても長生きする物語を、選ぶかもしれません。

家族が多いことにうんざりした人は、ずっと一人でいる物語を、選ぶかもしれません。

そうやって、いろんな物語を体験しながら、それでも自分の人生は何だったのか、と考えるなら、物語を選ぶ視点を変えることになるでしょう。

今の視点ではだめだと知ることで、今より高い視点の存在に、気がつくのです。

そして、次に選ぶ物語は、それまでとは全く異なる、奥行きのある物語になるのです。