誰の言葉か その1
好い加減なことをする人に、ちゃんとやれよな、なんて言われると、カチンと来ますよね。
お前が言うな!
と言ってやりたくなります。
それと同じように、他人の物を盗むのはよくないと、泥棒が言っても説得力がありません。
人を見下している人間が、差別はだめだと叫ぶのは、白けるものです。
暴力を振るっていた者が、争いはやめなければいけないと言っても、何を言ってるんだとなるでしょう。
しかし、泥棒に盗むなと言われて、お前が言うなと言いながら、誰かの物を盗むのはよくありません。
人を見下している者に、差別はするなと言われたことに、腹を立てながら、誰かを差別するのも、いいことではないでしょう。
暴力を振るう者に、争いはやめよと言われて、余計に激しく争うのは、何の得にもなりません。
相手に反発すると、相手の言葉に逆らいたくなるかもしれませんが、本当にそれでいいのかは、よく考える必要があるでしょう。
専門家と呼ばれる人が、自分の専門領域について、熱く語ることは、よく見受けられます。
専門家という表現は、権威の象徴でもありますから、専門家がこう言ったとなると、みんなそれに従おうとしてしまいます。
権威のある人の言葉は、とても説得力があるからです。
権威があるということでは、親や学校の先生、政治家や会社の上司など、世の中には様々な権威があります。
他の人から見れば権威でなくても、当事者にとっては権威ということは、よくあることです。
と言うか、誰が権威なのかは、その人を見ている者が、自分で決めるのです。
絶対的な権威というものは存在しません。
自分が誰かを権威だと思えば、自分にとっては、その人は権威になるわけです。
そして、その権威になる人が何かを言うと、素直にその言葉に従ってしまうのです。
しかし、これについても、本当にその言葉に従うべきなのか、本当にその人の言うとおりなのかは、自分自身で検証してみないといけません。