軍隊は必要か その4
体の免疫機能と同様に、軍隊とはその国を維持するために存在します。
軍隊が戦う相手とは、自国を攻めて来る、他国の狂った軍隊です。
しかし、ここで考えて欲しいのは、軍隊が存在するための条件として、自国とは違う他国の存在があるということです。
その他国が平和的であったとしても、それは現在のことであって、将来的にはどうなるかわからないと考えると、その国への信頼度は100%にはなりません。
いつか攻撃して来るかもしれないという恐れから、軍隊の必要性を感じます。
でも、その国と自分の国が、一つの国として機能し、それぞれの国民もそのような意識を持つならば、その二つの国の間には、軍隊は必要がなくなります。
本当の家族や仲間内では、殺し合いなど起こらないのと同じことです。
つまり、軍隊が必要だと考える時には、自国と他国の厳格な区別をしているということです。
目の前で戦争行為が行われていない時であっても、自国に軍隊が必要だと思う時、自国と他国の間に明確な境があります。
それは心の中の国境です。
そして、自国と他国のどちらかを選ぶ必要がある時は、躊躇なく自国を選びます。
自国の発展のためであれば、他国が泣きを見ようと仕方がないと考えるのです。
しかし、心の中に国境がない人は、目の前に困った人がいれば、それがどこの国の人かに関わらず、手を差し伸べるでしょう。
そうすることが自分の国の得になるのか、損になるのかということは考えません。
こういう人たちは、自分は地球人で、相手も同じ地球人だと見ています。
軍隊について考えるということは、それは自分の立ち位置を確認するということです。
またそれは、その時点における、自分の知性の高さを確かめるということでもあります。
相手を自分と同じ地球人だと見ることができない人は、高い知性を持っているとは言えません。
物事を深く理解する力が欠けています。
下心のない本当の思いやりは、どんな人にでも伝わるものです。
相手が怒っている場合、そこに思いやりが欠けていなかったかを、確かめた方がいいでしょう。
暴力の原因は、不安と自信のなさ、無力感です。
それを解決できるのは、思いやり以外にありません。
相手を思いやることで、その人の中にある、他人への思いやりの気持ちを、引き出してやるのです。
本当の信頼関係を結び、不安なんか必要ないということを、示さなければなりません。
あるのは喜びだけだと、わかってもらうのです。
軍隊が必要かどうかという問題の答えは、その人の立ち位置によって異なります。
どの答えが正しいかということはありません。
その人が、自分の立ち位置から見て、それが正しいと思うなら、それは正しいのです。
間違っていると思うなら、それは間違っているのです。
本当に考えるべきなのは、軍隊が必要かどうかではなく、人が人として成長するに当たり、自分の立ち位置は、どの辺りにあるのかということなのです。
宇宙は神秘に満ちており、今の人間が理解できるものではありません。
その宇宙の中にいながら、自分たちのわずかな経験と、狭い見識だけを頼りに、偏った判断で他人を傷つけたり、命を奪うということが、どういうことなのかを、今一度考えてみるべきでしょう。
ただし、それは間違っているかどうか、ということではありません。
試験の点数が、その科目に対する自分の理解度を、示しているだけに過ぎないように、今の自分が人間や宇宙というものに対して、どれだけ理解しているか、ということなのです。