軍隊は必要か その2
軍隊が必要かどうかという疑問に対して、国を外敵から護る必要があるという状況があるならば、答えは「軍隊は必要」となるでしょう。
それは自然環境の中で、生物が我が身を護るために、免疫を含めた様々な機能を持っているのと同じです。
ただ、これはそんな外敵があれば、という条件つきです。
外敵がいなければ、それに備える必要はありません。
たとえば、日本も昔は小さな国がひしめき合って、互いに相手を攻めて、領土を広げようとしていました。
それぞれの国にはお殿様がいて、そのお殿様に従う武士団がいたのです。
でも、今はそんなものはありません。
かつての小さな国の名残が、都道府県という形で残っていますが、隣の県がいつ攻めて来るかなんて、誰も心配していません。
どこの県に移動しようが、誰に咎められることもありません。
地域性というものは護られながらも、日本全体としてのまとまりがありますし、どこの地域の人も、自分は日本人だという自覚があります。
こんな感じで、周辺国との間にも、完全なる信頼関係と助け合う関係があるならば、軍隊なんか無用の長物です。
でも、表面的には仲良くしても、腹の底では相手を見下していたり、相手を利用して自分たちが得をするようなことを考えていると、それがいつかは大きな問題になるでしょう。
そうなると争いが起こり、それが大きく発展し、互いを憎むようになるのです。
ある地域がその国から独立しようとする動きとは、元はこのようなことが根底にあると思います。
周囲の人たちとの関係がよく、お互いに相手を尊敬し、困った時には助け合う環境にあれば、たとえ宗教や民族、言語などの違いがあったとしても、その国から独立しようとは思わないでしょう。
国内に大きな騒ぎが起こった時、まずは警察が動きますが、それでも埒が明かない場合には、軍隊が出動するというのも、よく見られる光景です。
この場合の敵は外敵ではなく、国内にいる者ということになります。
国内の治安を含めた環境を維持するために、軍隊が動くのは、外敵に対処するのと理屈は同じでしょう。
でも、その環境が本当に護るべきものなのかという点については、よく考えてみる必要があるでしょう。
権力者が無茶苦茶な政治を行った結果、多くの国民が怒り出してデモ騒ぎを引き起こすのも、珍しいことではありません。
民主国家でない場合、それが平和的なデモであっても、武力によって無理やり鎮圧しようとするものです。
この場合の軍隊は、国の環境を護るための組織というより、権力者の地位と権限を護るための組織と言えるでしょう。
本来の軍隊の姿ではありません。
軍隊というのは、決して自国民に手を出してはならないのです。
体の免疫機能が、普通の細胞を攻撃するようになると、これは自己免疫疾患という病気です。
独裁政治の下で行われる、軍隊や警察による国民の弾圧は、これと同じです。
それらの軍隊および警察は、病的な状態にあるわけです。
本来の軍隊は、他国を侵略するものではなく、自国を護るためのものです。
また、国民に乱暴を働くためのものでもありません。
そんな軍隊は必要ではありません。