世界と塗り絵 その4
塗り絵をするには、色を塗る道具が必要です。
クレヨンで塗るか、色鉛筆で塗るか、水彩絵の具で塗るか、油絵の具で塗るか。
元々色の付いた紙や葉っぱを、貼り付けることもできるでしょう。
きれいに均一の色で塗ることもできれば、濃淡をつけることもできますし、他の色を混ぜて、グラデーションにすることもできます。
色の使い方によっては、暗い色も明るい色を引き立てるのに役立ちます。
そういう意味で、ネガティブを悪い色と決めつけることはできません。
問題は色の配分や使い分けを、どのようにするかです。
そうは言っても、ほとんどが暗い色で彩られていたのでは、やはり冷たく苦しいばかりに感じられてしまいます。
それを体験してみたくて、わざとそうしているのであれば構わないのですが、そうでないのであれば、もう少し居心地のいい色に変えてみるといいと思います。
また、色の塗り具合も、同じ塗り方ばかりではなく、他の人の塗り方を参考にさせてもらうのも、なかなか楽しいものでしょう。
自分の世界を彩る時、どんな色を選ぶのかは、全て自分の価値観で決まります。
暗い世界を描いてしまう場合、自分が暗い色を選んでしまう言い訳はできますが、とにかくその色を選んでいるのは自分です。
言い訳は、自分がどうしてそんな価値観を持ったのか、という説明に過ぎません。
また、言い訳をしたくなる時は、他人からどんな目で見られているのか、ということを気にしています。
でも、他人の目なんか気にする必要はないのです。
人はみんな自由です。
それぞれが自分の好きな色を選べばいいのです。
他人が選んだ色について、あれこれ言うのは間違いですし、言われたからと言って、それで自分が間違っていると考えてはいけません。
大切なのは、その色で自分が満足しているのかどうか、ということだけです。
色を変えたくなったなら、価値観を変えればいいのです。
価値観を変えれば、色は簡単に変えられますし、違った色の塗り方も、楽しむことができます。
価値観をなかなか変えられないと思っている人は、価値観と自分自身を同一視しているのです。
価値観を変えてしまうのは、自分を変えてしまうことだと信じているのですね。
つまり、違う価値観を持つのは、今の自分を否定するのと同じ意味になり、そんなことはしたくないし、できるわけがないと思うのです。
でも、価値観は衣服と同じです。
暑いとか寒いとか、その時の状況に合わせて、私たちは衣服を着替えます。
衣服を替えたところで、中の自分は何も変わりません。
それと同じで、価値観を変えたところで、自分自身は何も変わらないのです。
そこが理解できたなら、それまでとは違う色を、衣服を着替えるように、自由に使うことができるでしょう。
どんな色を選ぶのか、どんな塗り方をするのか、それは全く個人の自由です。
こうでなければいけないということはありません。
要は自分がその色の世界に、満足するのかどうか、ということだけです。
暗い色であっても、自分がそれでいいと思うのであれば、それでいいのです。
気に入らないところがあるのなら、そこを別の色に変えるだけのことです。
そうして自分が満足する色の世界を描けたならば、それは最高の体験です。
そして、そんな様々な世界が重なった、人類全体の世界とは、個性が尊重されて多様性がハーモニーとなった、最高に素晴らしい世界となるでしょう。