夢を現実に その3
そもそも夢が現実になるなんて、誰にでも起こるはずがないだろう。
そう考える人もいるのではないでしょうか。
やっぱり夢が叶う人と、そうでない人との間には、超えられない壁が存在していると、疑わない人もいるでしょうね。
でも、本当にそうなのでしょうか。
自分ができないと信じているから、できないのだという考えを、絶対的に否定できる根拠は、どこにあるのでしょう。
では、できるという根拠はあるのでしょうか。
それを確かめるためには、夢と現実について、深く考えてみる必要があります。
夢が現実になるという表現ですが、これは夢と現実が別のものであり、本来同じにはなり得ないという発想が、基盤になっています。
水が氷になったり、空に浮かぶ雲になると言っても、それを否定する人はいないでしょう。
水も氷も雲も、その本質は同じだからです。
夢と現実が別物だと考える場合、それぞれの本質が異なっていると、理解しているのですね。
でも、本当にそうなのでしょうか。
夢にしても現実にしても、私たちが体験している世界は、全て私たちの意識の中にあります。
感覚や感情という情報を元にして、自分自身の中に構成しているのです。
もちろん他の人や他の生き物、あるいは海や大地や宇宙などの存在は、自分とは別にあります。
でも、それは本質としての存在であって、私たちが見たり聞いたり触れたりしているものは、全て私たちの意識の中にあるのです。
わかりにくいでしょうか。
インターネットでモニター画面を通して、遠く離れた人とお喋りをしたりできますよね。
この場合、画面に映っている相手の姿は、あくまでもモニター画面上の映像であって、その人自身ではありません。
それと同じことなのです。
たとえ相手が目の前にいたとしても、それは相手の本質を見ているのではなく、相手が発している情報を感覚的にとらえて、心の中のモニター画面に映し出しているだけなのです。
眠っている間に見る夢の世界も、同じことです。
つまり、夢も現実も本質的には同じなのです。
夢を見ている時に、それを夢だと自覚していなければ、現実世界にいる時と同じように、そこでの出来事に翻弄されます。
でも、これは夢なんだとわかっていると、夢を自分の好きなように変えることが可能となります。
何を自分の心のモニターに映し出すのかを、決めるのは自分自身だからです。
現実世界は自分が見ている夢ではないと、反論したくなるでしょう。
でも、夢が個人の意識が創る世界であるように、現実世界は人間の集団意識が見ている、夢だと思えばどうでしょうか。
それが夢だと自覚できなければ、翻弄されるのは個人の夢と同じです。
集団意識を構成している多くの人が、夢である現実世界の出来事に振り回されています。
でも、自分たちが世界を創り出しているのだと、一人一人が自覚するようになれば、いずれは現実世界も夢の世界のようになるはずです。
集団意識が自由に目覚めた時、自らの夢である現実世界を、コントロールできるようになるでしょう。
個人レベルでも、自分の好きなように生きる人たちは、他の人とは異なる、自分の世界を体験していますし、その世界を自分で創っているという自覚があります。
他の人の世界を変えることはできませんが、自分の世界はどうにでもできるのです。
それは、その人の意志が強いと見ることができますが、夢と現実の本質が同じだからこそ、できることなのです。
そうでなければ、どんなに意志が強くても、思ったとおりには生きられないでしょう。
大切なことは、夢と現実は違うんだと、自分を諦めさせるのではなく、余計なことは考えずに、自分が生きたいように生きる、ということなのです。
そうすれば、夢も現実も同じなのだと、気がつくと思います。