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正義の裏に見え隠れする差別 その1

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ロシアによるウクライナへの侵攻は、多くの市民を難民にしています。

すでに100万人以上の難民が、国外へ脱出しており、隣国のポーランドでは、55万人の避難民を受け入れています。

他にも、ハンガリーで13万人、モルドバで10万人、スロバキアで8万人、他の国へ9万人と言われており、敵国であるロシアにも、5万人が逃げています。

ロシアに逃げた人たちは、親ロシア派の人たちなのでしょうね。

ところで、難民と言えば、シリア難民が記憶に新しいでしょう。

彼らは未だに難民生活を強いられています。

よりよい生活環境を求めて、ヨーロッパへ移動しようとしたものの、EUからこれ以上は受け入れられないと、拒否されていたことを覚えている方は、少なくないと思います。

実際、ヨーロッパの国々はそれぞれの事情が許す限り、彼らを受け入れて来ましたが、やはり限界が来たので、制限をしたのでしょう。

そこのところは理解できますが、今回、ウクライナから短期間に避難して来た人の数は、今の勢いで行くと、シリア難民の数を遙かに超えるだろうと言われています。

それなのに、こうして多くの難民を快く受け入れているのは、基本的には近隣諸国が同情的だからだと思います。

ところが、ブルガリアのキリル・ペトコフ首相は、次のように述べたと言います。

「これらの人々は、私たちが見てきた難民とは違います。彼らはヨーロッパ人なのです。知的で教養のある人々です。これは私たちが直面してきた難民の波とは違う。素性も過去もわからない、テロリストかもしれない人たちとは違うのです」

これは明らかに差別でしょう。

確かに難民に混ざって、テロリストやそれ以外の無法者が、入り込む可能性はあるでしょう。

しかし、それはウクライナの難民についても言えることです。

それに難民になった大半の人たちは、それがどこの国の人であれ、平和を愛する普通の暮らしをしていた人たちであり、その人々を見下した言葉はいただけません。

他にも、ウクライナの元次長検事デヴィッド・サクヴァレリゼ氏は、こう述べています。

「青い目とブロンドヘアーのヨーロッパ人が殺されているのを見ると、非常に感情的になる」

これはイギリスのBBCによるインタビューに応えたものですが、この言葉に対して、BBCの司会者は異議を唱えなかったそうです。

要は、白人であれば同情するが、白人でない者には同情しない、ということですね。

こういうことを考えるから、白人は信用ならないと、考える者が出て来るのです。

ただ、難民救援に携わっている、ほとんどの人々は、このような考えは持っていないと思います。

現場で打ちのめされた人々を、自分の目で目撃し、自分の手で触れた人は、そんなことは考えないでしょう。

何故、自分と同じ人間なのに、この人たちがこんな目に遭わねばならないのかと、こう考えるに違いありません。

ウクライナの人たちに、救いの手を差し伸べることは、正しいことだと思います。

しかし、その動機の中に、このような差別的な考えが潜んでいるのだとしたら、それは残念なことだと思います。