お笑いの夢 その1
先日の話です。
夜、トイレに起きた私は、再び布団の中に入った時、久しぶりに自分のガイドに会いたいと思いました。
ガイドに会いたいと願って寝ると、夢の中にガイドが出てくることが、よくあるからです。
そして、この時も、それらしい夢を見ました。
その夢はアニメでした。
舞台は不気味な雰囲気の日本家屋です。
どこかの大きな旅館でしょうか。
大きな広間があって、障子の向こうに縁側と、内庭が見えます。
その中を、幽霊のような、と言うか、恐らく幽霊でしょうね。
生きた人間ではない者たちが、思考停止状態で、ぼーっとしながらうろついています。
多分、自分がそこで何をしているのか、何故そこにいるのか、何もわからないし、わかろうともしないまま、同じ所をぐるぐると回り続けているのでしょう。
そこに一人の若い男の子の幽霊がいました。
歳は中学生か高校生ぐらいでしょうか。
青白い顔で、ぼーっとした顔のまま、広間に入って来ました。
普通の人が見れば、明らかに幽霊だと知って、驚いたことでしょう。
その男の子の幽霊が広間に入って来ると、突然その前に、一人のお坊さんが現れました。
全てはアニメーションです。
アニメと言っても、リアルな絵ではありません。
四コマ漫画のような絵です。
幽霊の男の子も、突然現れたお坊さんも、四コマ漫画に出て来るようなキャラクターです。
そのお坊さんは、男の子の幽霊に、鉄工所での溶接現場で使うような、フェイスシールドを渡します。
声はありません。
無音です。
まさに四コマ漫画ですね。
男の子の幽霊は、ぼーっとしたままそのフェイスシールドを受け取ると、それを顔の間に掲げます。
私に見えるのは、そのシールドを通して見た、屋敷の中の様子です。
ちょうどサングラスをかけたように、少し薄暗く見えます。
それが男の子が見ている情景なのですね。
男の子はそのシールドを通して、部屋の中をぐるりと見回します。
すると、いきなりゴーゴンのような女の化け物が現れました。
すぐ目の前に大きな化け物の顔が現れて、ベロベロバーという感じで、男の子を驚かせようとするのです。
そして、期待通りに男の子は驚き、思わずその化け物に平手打ちを浴びせます。
何も考えずに、ぼーっとしていたはずの幽霊が、反射的に平手打ちをしたところが、思いがけず面白かったのですが、その次の場面で、私は思わず噴き出して笑いました。
化け物に驚き、その化け物を張り倒してしまった男の子は、興奮したままシールドを外します。
そして、足下に倒れている化け物を確かめるのですが、何と、それは化け物ではなく、お地蔵さまでした。
よく見かける、石像のお地蔵さまです。
ただ、大きさは1メートルはあるでしょうか。
結構、大きなお地蔵さまでした。
それを見て、男の子はさらに驚きます。
だって、化け物を張り倒したはずなのに、自分が張り倒したのは、お地蔵さまだったのです。
お地蔵さまは尊い存在であり、敬いこそすれ、張り倒す対象ではありません。
男の子は自分がしてしまったことに驚き、慌ててその場を逃げ出してしまいます。
それこそ漫画のように、シュインって感じでした。
その驚きように、私は笑いました。
もう幽霊であることも忘れて、生きた人間みたいに、逃げてしまったからです。
すると、倒れていたお地蔵さまがにやりと笑い、その顎から黒い顎髭が、ニュッと伸びて来ました。
そうです。
このお地蔵さまは、先ほどのお坊さんが化けたものでした。
男の子が見た女の化け物もそうですね。
お坊さんが化けていたのです。
これが、私が見た夢です。
とんだお坊さんですが、果たしてこのお坊さんは何者だったのでしょうか。
私はこのお坊さんこそが、私が会いたいと望んだ、私のガイドだったと受け止めています。
私には何人かのガイドがいると認識していますが、そのうちの一人は、とてもひょうきんなので、恐らくはそのガイドだったのでしょう。
夢の中で笑わされてしまうなんて、滅多にないと言いますか、初めてのことだったように思います。
でも、ガイドはガイドですから、ただふざけているのではありません。
この夢には、もっと深い意味が隠されているのだと、私は気がつきました。