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自己認識ができる魚

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以前に、ミラーテスト(鏡像自己認知テスト)の話を、記事に載せました。

それは、動物に麻酔をかけて眠らせている間に、その動物が自分では見られない部分に、色を塗ったりステッカーを貼っておき、意識が戻った動物に鏡を見せて、その反応を見るというテストです。

鏡に映る姿を、自分だと認識しているのかというテストです。

 Andre MoutonさんによるPixabayからの画像です。

自分だと認識している動物は、自分に余計な物がついていることを、鏡で認識して、それを取ろうとするそうです。

このテストの結果、多くの動物が、鏡の中にいるのが、自分だとは認識できていないそうです。

認識できた動物は、イルカとシャチ、ボノボとチンパンジーとオランウータン、ゾウ、カササギ、そして魚のホンソメワケベラと書かれてありました。

これに対して、自分だと認識できなかったのが、多くのサルたち、アシカ、パンダ、イヌ、オウム、カラス、タコだそうです。

知性が高いと言われる、多くのサルや犬、カラスやタコには、鏡の自分がわからないのに、魚のホンソメワケベラはわかると言うのが、へぇという感じでした。

ところが今回、大阪市立大学の研究グループが、このホンソメワケベラを使って、同様のテストをした結果、やはりホンソメワケベラは、自分を認識しているようだという、研究結果を発表しました。

 ※ここなっつんさんによる写真ACからの画像です。

研究グループは、ホンソメワケベラの喉の部分に、寄生虫に似た茶色のマークを付けたあと、鏡を置いてホンソメワケベラの動きを観察しました。

すると魚は鏡を見たあと、ブロックに喉をこすりつけ、マークを取ろうとしたそうです。

魚にどうやって麻酔をかけるのかはわかりませんが、もし魚がマークを付けられたことで、その部分に違和感を覚えて、それをこすり取ろうとしたのであれば、鏡には関係なく、そうするでしょう。

しかし、鏡を見たあとで、そのような行動を起こしたのだとすると、それは鏡でそのマークを認識したからこそ、それを取ろうとしたのだと考えられます。

また、研究グループによると、他の色のマークではこうした動きはしなかったそうです。

つまり、魚はマークを取ろうとしたのではなく、寄生虫を取ろうとしたということなのでしょう。

とても興味深い研究結果だと思います。

サルや犬などの、知性の高い動物では、認識できないことが、知性が低いと思われるホンソメワケベラで、認識できたということは、人間が考えるところの知性の高さと、鏡の自分を認識する能力とは、比例しないということですね。

やはり知性の高いイルカやシャチ、チンパンジーやオランウータン、ゾウなどは、鏡の自分を認識したと言いますし、ホンソメワケベラ以外の魚が、認識したとは言われませんから、いわゆる知性とは関係ないのかもしれません。

あるいは、鏡に映っているのが自分だとわかっていても、その姿に何かが付いていることに、無頓着なだけかもしれません。

そうであれば、このテスト自体が、意味をなさなくなってしまうでしょう。

ただ、いずれにしても魚の中で、明らかに鏡に映った自分を認識しているものが、いるということは、とても興味深いことであり、小さな生き物であるという理由で、それが劣った存在であるとは、決めつけることはできないということです。

事実は人間が知らないだけで、目に見えないような生き物であっても、機械的に動いているのではなく、それぞれの知性や心があるということだと思います。