犯罪が伝えていること その4
犯罪を他人事のように思ったり、犯罪が起こる理由を、個人的なものだと決めつけてしまうと、犯罪をなくすことはできません。
悪い人間を片っ端から捕まえて、刑務所に放り込んでおきさえすれば、それで世の中は平和だと考えるならば、それは浅はかな考えです。
たとえば、癌という病気があります。
知らない間に癌細胞が増殖し、体のあちこちへ散らばって行くのです。
それを見つけて、片っ端から切除すればいいなんて言っていると、いずれその人は死ぬでしょう。
抗がん剤や放射線治療で、目に見えない癌細胞を、退治すればいいと思うかもしれません。
でも、これらの治療は体にもダメージを与えます。
そのダメージを乗り越えて、癌が治る人もいますが、それはその人が二度と癌にならないという意味ではありません。
癌細胞を抑える免疫力がなければ、他の癌が現れるかもしれません。
あるいは、癌以外の病気になる可能性もあるでしょう。
免疫力が落ちた理由が、日常の暮らしの在り方にあるのであれば、それを改善しないままだと、同じことが繰り返されます。
治ったつもりの病気が再発したり、別の病気で苦しむかもしれません。
患者の免疫力を上げる治療が、注目されていますが、それはその人が持つ本来の力を、引き出すということです。
つまり、本来の自然な力に頼るということですね。
しかし、これにしても一時的に免疫力を上げるだけであるならば、再び免疫力が落ちた時に、またもや病気になる可能性があるでしょう。
大切なのは、日々の暮らしの中で、いかに免疫力を維持するかということです。
病気と言うと、体にばかり目が向きがちですが、心の状態にも注目する必要があります。
病気を抱える人たちが、気持ちが塞いでしまうのは、誰にも理解ができるでしょう。
しかし、病気が発症する前の精神が、安定していたとは限りません。
見た目は普通の暮らしをしていても、心の中では不満を感じていたり、空しさを覚えていることもあるはずです。
精神面を軽視していると、心の歪みに気がつかず、体の病気以上に苦しむことになるかもしれません。
人間の体は病気にならないようにできています。
普段からその体の働きを、存分に発揮できるようにしていれば、病気にはならないでしょう。
何かの病気になった時には、必ずそれまでの暮らし方を、見直す必要があります。
それと同じで、人間が本来の人間らしさを存分に発揮して、社会を作ったならば、その社会では犯罪は起こりません。
犯罪が起こるということは、そこに社会の歪みがあるということです。
犯罪だけに注目していたのでは、本当の解決には至りません。
ただ、今の犯罪に見られる歪みは、思わずできた歪みではなく、計画的に作られた歪みです。
もちろん、犯罪を犯した人が、自分で作ったものではありません。
世の中を支配している者たちが、意図的に作った歪みです。
人々が将来に不安を感じるようにしたり、貧困の苦しみを味わわせることで、お金中心の世の中を、維持しようとしているのです。
みんなを支配するために、社会に優劣を作り、下へ行くほど苦しみが多くなるように、こういった歪みが作られています。
世界中の大金持ちは、資本主義が崩壊することを、誰より恐れているでしょう。
そんなことになれば自分たちが大変ですから、そうなると誰もが生きて行けないと、人々に思い込ませるのです。
経済社会の崩壊なんか有り得ないと思わせて、どんな問題が起ころうとも、まずは経済という発想が生まれます。
お金がなくても、人間が集まって助け合えば、どんなことでも可能だとは教えません。
人間がいて、物資があって、技術も知識もあって、困っている人を助けたいという気持ちがあるのに、お金がない、予算が組めないという理由で、今やるべきことが後回しにされてしまうことは、いくらでもあるのではないでしょうか。
人々がお金に縛られず、自分が持つ力を無償で提供する、国民全員がボランティアの社会ができれば、様々な問題は瞬く間に解決するでしょう。
困るのは、支配欲や優越感に凝り固まっている人々だけなのです。