夢をどう見るか その3
自分が夢を見ていても、普通はそれが夢だとは、気がつきません。
どうしてそこにいるのか知らないまま、夢の中の状況に応じて、喜んだり悲しんだり怖がったりするのです。
楽しい夢ならいいのですが、怖い夢や嫌な夢の場合、苦しんだりパニックになったりします。
しかし、それが夢だとわかっていれば、そこを切り抜けることができるのです。
自分が夢を見ていると、わかっている夢のことを、明晰夢と言います。
そんなに数多く見るわけではありませんが、誰しも一度や二度は、見たことがあるのではないでしょうか。
これは夢だなとわかっていれば、それは自分が思い描くイメージと変わりませんから、状況を変えることが可能となります。
逃げ道がないと思っていたはずが、空を飛べるようになったり、小さな抜け穴を通り抜けられるようになったりできるのです。
怖いと思っていた相手を、やっつけることもできますし、相手の気持ちを理解して、仲間になることもできます。
明晰夢でなければ、何もわからないまま、夢の中の世界の状況に、黙って従うしかありません。
それは現実の世界でも同じです。
自分は無力で、世の中に対してどうすることもできないと、信じ込んでいると、悪夢のような混乱した状況に巻き込まれて、苦しむことになってしまいます。
明晰夢で自分の思ったとおりに動くように、この世界でも、自分の思ったとおりに動くことができれば、悩んだり苦しんだりすることはないでしょう。
自分が思ったように、自由に生きることができるのです。
でも、どうすればそんなことができるのでしょうか。
自分が夢を見ていると理解するというのは、夢の中で設定された状況が、絶対的なものではなく、自分で好きなように変更できる、と知ることなのです。
現実世界で人々から自由を奪い、束縛しているものは何でしょうか。
それは誰かが勝手に決めた、ルールや価値観です。
自分が知らない所で、いつの間にか設定されていた、本来は自分とは関係のない、ルールや価値観です。
それらのルールや価値観に従わなければ、この世界では生きていけないと、多くの人が信じ込まされています。
しかも大抵の場合、そのルールや価値観に従うと、ほとんどの人が自分は無力で無価値なのだと、考えざるを得なくなるのです。
それはおかしい、そんなルールや価値観なんていらないや、と考えられるようになった人は、様々な束縛から逃れて、自由に生きることができるようになります。
それはちょうど夢が夢であると理解して、自由に空を飛べるようになるのと同じです。
人が世界をどのように認識し、どのように理解するのか。
それはその人の価値観で決まります。
他人から押しつけられた価値観ではなく、自分自身の感覚で生きることができれば、どれほど人生は楽しいことでしょう。
お前に何ができる、お前なんか無力で無価値だ。
そんな言葉など好きなように言わせながら、思う存分自由に生きるのです。
人生は自分を表すキャンバスです。
実際に、そのように生きている人は、いくらでもいます。
そんな人たちを特別だと考えず、その人たちにできるのであれば、自分にだってできるはずだと考えるのです。
彼らは周囲の人に、自由に生きるお手本を示してくれています。
現実に対する固定観念を打ち壊し、自由を手に入れることだけが、今の現状を抜け出せる唯一の方法です。
私が見た中東のイメージの夢は、そんなことを教えてくれていたのです。