日本初のオストメイトモデル その3
オストメイトモデルのエマさんは、シングルマザーです。
ただでも生きて行く気力を、失いそうな状況の中、一人親として子供を育てるの苦労は、口で言えるようなものではないでしょう。
そんな状況に置かれたら、人はそこから逃げ出したくなるに違いありません。
実際に逃げ出したり、人生そのものに終止符を打つ人いると思います。
しかし、エマさんはその苦しい状況を、自分が生きるための力に変えました。
マイナスに見えるものを、プラスに変えて利用したわけです。
また、同じ苦しみを持つ人たちのためにという想いも、大きな力となりました。
誰かのためにという想いが、自身の生きる力になったのです。
もし、自分のことしか考えない人であれば、子供の気持ちや、同じオストメイトの人たちの気持ちを、思い遣ることはできなかったでしょう。
そんな人は、自分だけがつらい想いをしているという、閉塞的な考えにはまってしまい、人生に絶望し、他人の気持ちも考えられないまま、全てをリセットしたくなるのです。
エマさんの生き方は、オストメイトの方だけでなく、全ての他の人々にとって、模範となるものです。
人生の苦しみは人工肛門だけではありません。
いろんな苦しみがあり、中には、他人から見て問題ないじゃないか、と思われるようなものも、少なくないのです。
どんな苦しみであれ、本人にとっては大問題なわけであり、そこからどう抜け出せばいいのか、わからずに悩み続けてしまいます。
そんな人たちにとって、エマさんの姿は、やはり大いなる励みになるでしょう。
エマさんのことは、NHKの番組で紹介されていたのですが、番組の中でエマさんは、とても大切なことを伝えていました。
それはオストメイトになった自分自身が、パウチを装着している姿を、恥ずかしいものだと思い込んでいたのではないか、というものです。
自分で自分を恥じるからこそ、周囲の人が同じように見ていると思うだろうし、実際、そう見られてしまうということでしょう。
今のエマさんは、パウチを少しも恥じないと言います。
パウチは自分の一部であるといい、隠すべきものとは思わないそうです。
この言葉は本当に素晴らしい。
同じことは、いろんな人に当てはまると思います。
自信を失っている人、嫌なことや恥ずかしい経験をしてしまった人。
こんな人たちは、自分が価値のないものだと信じ込み、他の人たちも自分を、そのように受け止めていると思いがちです。
でも、実際はそんなことはありませんし、自分が堂々として人生を楽しんでいれば、他の人ともいい関係を築けます。
自分の想いが、自分を取り巻く状況を創っている。
このことをエマさんは教えてくれました。
エマさんは、これからも一人の人間として、輝く人生を歩まれるでしょう。