自分に打ち勝つ
勝負の時には、必ず相手がいます。
その相手と勝ち負けを競うのが、勝負です。
そんな勝負ごとの時に、よく使われる言葉が、「自分に打ち勝つ」というものです。
それは自分の中にある弱さが、自分自身の足を引っ張り、敗北につながるからです。
本当の敵は己の中にあり、というわけです。
この戦うべき自分とは、どのような自分なのでしょうか。
それは冷静沈着ではなく、焦りや不安で心の中を、かき乱そうとする自分なのです。
本当にこれでいいのか。
もっと、いい方法があるのではないか。
もし、上手くいかなかったら、どうしよう。
ああ、きっと失敗するに決まっている。
こんな感じで、やかましく喚き続ける自分を無視し、冷静に判断することが、勝負では求められるのです。
でも、これって普段の暮らしの中にも、よくあることではないでしょうか。
人生はいつも崖っぷちだと受け止めている人は、常に心の中がざわついているでしょう。
ちょっとした事で一喜一憂し、他人の動きや評価を、とても気にしてしまいます。
本当はこうしたいけど、他の人たちがやらないから、やめておこうと考えます。
今は上手く行っていても、将来的にどうなるのかわからないと、不安を抱えてしまいます。
人生は勝負だと考えるのであれば、そんなやかましい自分なんか、何とか抑え込んで冷静に行きたいものでしょう。
でも、なかなか抑え込むのは簡単ではありません。
結局は、不安から逃れることはできないのです。
でも、そうではない人たちもいます。
それは、このようなやかましい自分を、心の中に住まわせていない人たちです。
このやかましい自分というのは、自分に自信がなく、自分を認められない自分です。
また、巷にあふれる根拠のない価値観を、バイブルのように崇めている自分なのです。
この自分は、自分だけという状況を恐れるので、多くの人と自分を合わせようとします。
そのため、多くの人が抱える価値観を、後生大事にするのです。
他人に合わせるのではなく、自分の価値観を持ち、自分自身の考えで人生を歩む人たちには、このようなやかましい自分はいません。
ですから、何かが起きても冷静に判断しますし、また起きたことに対する覚悟を持っています。
その人たちは決して特別ではありません。
誰もが同じようにできます。
ただ、そうできないと信じ込むような価値観を、手放さないからできないのです。
自分に打ち勝つとは、自分を信頼するということであり、失敗してもそれを受け入れる覚悟を、持つということです。
覚悟を持たず、結果に対する責任から逃れようと考えていると、いつまで経っても自分を信頼できません。
自分を信頼できれば、そもそも打ち勝つべき自分が、いなくなります。
不戦勝というわけですね。
と言うか、そういう人たちは人生を勝負とは見ていないのです。
人生は勝負するものではなく、楽しむもの。
こう理解していれば、うるさい自分は現れません。
それが一番楽ですし、納得の行く人生を送れるでしょう。