聞く耳を持つ その3
とても苦しい状況に置かれているのに、どうしたらわからない場合、誰かの助言を仰ぐといいでしょう。
自分の考えだけで、うまく行くのであれば、そもそも苦しい状況に、陥ったりすることはありません。
自分では気がついていない、何かに問題があったからこそ、苦しい状況に陥るわけです。
自分で気がつかないということは、視点を変えて考える必要があります。
たとえば、天井から雨漏りがするのを、下から見上げていただけでは、わかりませんよね。
屋根に登ったり、天井裏を調べてみたりしないと、どこから雨が侵入しているのかを、見極めることはできません。
意固地になって、雨漏りを下から眺め、ぶつぶつ文句を言ったところで、雨漏りは止まりません。
放って置くと、どんどんひどくなるばかりです。
物事はこの雨漏りと同じで、おかしくなり始めたら、すぐに対処するのが、一番なのです。
放置すればするほど、手に負えなくなってしまいます。
それでも、誰かに助けを求められない人がいます。
そういう事に、慣れていないだけのこともあるでしょう。
でも、思い込みのために、助けを求められない人もいると思います。
そんな人の心には、助けてもらうのは情けない事だ、という考えが、どこかに潜んでいます。
それは言い換えれば、何でも自分一人でできることが、一人前の人間だという、思い込みなのです。
でも、自分が生まれて来る前から、人間は存在しているわけです。
あとから生まれて来た者が、一人前の人間とはこうなのだと決めつけることは、とても傲慢なことです。
自分の人生経験で得た知識など、たかが知れています。
それだけを元にして、人生とはこうだ、人間とはこうなんだ、と決めつけるのは間違っています。
間違っているからこそ、その考えが自分自身を、苦しめることになるわけです。
人の数だけ、いろんな視点があります。
いろんな違う視点の意見を聞くことは、とても勉強になります。
何か言われたからと言って、そのとおりにする必要はありません。
最終的にどうするかを決定するのは、本人です。
また、言われたとおりにしたからと言って、その人に従ったという事にもなりません。
その人の意見を納得し、自分も同じ考えを持っただけであり、あくまでも自分の考えで決めているのです。
逆に言えば、あとから、あの人がこう言ったから、という言い訳は通用しません。
自分で納得して決めた以上は、それは自分の考えであり、自分の決定だからです。
とにかく、人生の主導権は常に自分にあります。
人の意見を聞いたところで、自分の価値に何も変わりません。
それどころか視野が広がり、人生を一段高い所から眺めることが、できるようになるでしょう。
そして、これまで自分の自由を、自分自身で奪っていたことに、気がつくのです。