結婚するということ
結婚とは、男と女が夫婦という関係になることです。
では、夫婦とは何なのでしょうか。
辞書で調べますと、「婚姻関係にある男女の一組。夫と妻」とありました。
婚姻ですが、これも調べてみますと、「結婚すること。夫婦となること」と書かれています。
これでは、全然説明になっていませんよね。
舐めとるんかい、と言いたくなってしまいます。
夫婦とは、どんな関係を言うのか。
わかっていても、それを適切な言葉で、説明するとなると、案外むずかしいものですね。
昔からある概念では、男と女が生活を共にすることを決意し、その旨を役所に届け出て、公から認めてもらった状況、と言えるでしょうか。
役所という制度がなかった頃であれば、そこの集落の人々に認めてもらうことが、公に認めてもらうことになったでしょう。
かつての日本では、結婚とは家を守り、家の血筋を絶やさないためのものでした。
夫婦がお互いに、好き合っている必要はありません。
結婚相手は、親が決めるのが通常でした。
結婚すると女性の方は、男性側の家に入ります。
それは自分が生まれ育った家を出て、新たに男性側の家の人間になる、ということです。
つらい事があっても、実家に逃げ帰るなど、なかなかできません。
逃げ帰ったとしても、それはそれで出戻りと言って、肩身の狭い思いをするのです。
家のための結婚ですから、子供を産む事が、嫁入りした女性の最大の仕事です。
望まれるのは、家の後継ぎになる男の子です。
女の子しか産めないと、文句を言われます。
全く子供を産めなければ、女として失格という、烙印を押されてしまいます。
そんな昔と違って、今は自分たちで、結婚を決めることができます。
妻が夫の家族の世話を、強要されることはありません。
世話をする場合、それは妻の好意と、妻自身の決断で行われます。
子供が産まれなくても、夫婦がそれでいいと決めたなら、何も問題はありません。
昔と比べると、みなさん、さぞかし幸せな結婚が、できるだろうと思えます。
でも実際は、いろんな問題があるようです。
芸能人の世界では、幸せな結婚をしたはずなのに、やれ浮気だ、やれ離婚だと、こんな話は日常茶飯事です。
お金もあるし、素敵な方と一緒になった。
それなのに、どうして浮気したり離婚するのかと、首を傾げる人も多いでしょう。
価値観の違いだと言ってしまえば、それまでです。
でも恐らくこういう人たちは、お互いへの思いやりと感謝に欠ける日々を、送っていたのだと思います。
みんなの目を惹くような、素敵な人と結婚したい。
こう考える人が多いのは、芸能人でも一般人でも同じだと思います。
それは物語のように、とても素敵なことだと、多くの人が信じているのでしょう。
そんな結婚ができるのは、幸せなことだと考えてしまうのです。
でも、そんなことを考えていたのでは、結婚生活が上手く行くはずがありません。
それは相手を、自分を引き立てるための、装飾品と見ているからです。
装飾品が、持ち主を喜ばせるのは、当たり前です。
持ち主の方が、装飾品を喜ばせる必要はないのです。
装飾品を手に入れるまでは、努力もするでしょう。
しかし、手に入れてしまえば、おしまいです。
あとは、外の人から羨んでもらうように、装飾品である相手に、いろいろ尽くしてもらうだけです。
本人にとっては、それが幸せな結婚生活なのです。
装飾品である相手に、自分の方が尽くすなんて、思いつきもしないでしょう。
そんな考えで、誰かと一緒になっても、上手く行くわけがありません。
現に、好きで一緒になったはずの人と、多くの方たちが別れています。
そんな悪い実例があるのに、何故同じことをしてしまうのか。
きっと素敵な人と、一緒になれなかった者の人生は、不幸でつまらないものだという、発想があるのでしょう。
その歳になって、まだ独り身なのか、可哀想に。
のんびり構えていたら、誰にも振り向かれなくなってしまうよ。
今はいいけど、歳を取ってから、寂しくなるよ。
そんなことを言われて、その気になると、何がなんでも結婚しないと、と思うようになるでしょう。
そして、どうせ結婚するのなら、できるだけ条件のいい人と、一緒になりたいと考えるのです。
それは全部、自分の都合です。
そもそも、独り身の何が悪いのか、考えてみるべきでしょう。
結婚したい人は、すればいいのです。
だけど、独り身の方がいいと、考える人だっているのです。
どちらが正しい、ということではありません。
どう生きるのかは、その人の自由なのです。
独身でも幸せを感じられる人が、誰かを好きになるならば、きっとその人を、幸せにしたいと思うでしょう。
その人に何かを求めるのではなく、その人を喜ばせたいと思うはずです。
そういう思いで一緒になる。
それが本当の結婚だと、私は考えています。