母なる地球
母なる地球。
よく聞く言葉です。
全てのものは、地球から生まれたという意味ですね。
生命が海から始まったと言う時には、母なる海という言い方もしますが、海は地球の一部です。
海の環境というものは、海単独で成り立つものではありません。
山や大気の状態が影響しますし、地球の自転や、地球と月の引力、また地球が受ける太陽の影響なども、大きく関係しています。
ですから、地球の一部である海だけを、特別視するのではなく、地球全体で物事をとらえているのですね。
でも、私はこの言葉に、少し違和感を覚えます。
何だか、きれい事を言っているように、聞こえてしまうのです。
もちろん、本当に地球を全ての母ととらえて、そう表現する人もいるでしょう。
自分が感じていることを、言葉で伝えようとすると、こういう表現になってしまうのですね。
ただ、言葉には限界がありますし、同じことを言っているつもりでも、その言葉で表現しようとしているもの、その人が本当に感じているものが、微妙に違っていることって、ありますよね。
それは、よくトラブルの元になります。
たとえば、一生懸命という言葉の意味、一生懸命の中身が、人によってとらえかたが違うと、自分は一生懸命にやっているのに、全然一生懸命にやっていないと、言われてしまうことがあるでしょう。
神さまという言葉でも、人によって、とらえ方が様々です。
それを、自分のとらえ方が絶対に正しいと考えると、争いになってしまいます。
本当はわかっていないのに、偉い人が言った言葉を使うと、何となく自分も偉くなったような気がしますよね。
そんな感じで、母なる地球という言葉を使う人が、いるように思えてしまいます。
言葉よりも、大切なのは意味であり、感覚です。
母なる地球という言葉が、何を意味していようとしているのかを、理解することです。
その理解というのも、全ては地球の一部であるという、知識としての理解ではなく、感覚的な理解が必要です。
自分が地球の一部なんだ、自分はいつも地球とつながっているんだ、という感覚を持つことです。
では、どうすれば、そんな感覚が持てるのでしょうか。
簡単です。
あなたがどこにいても構いません。
山にいようと、海にいようと、街中にいようと、家の中にいようと、全ては地球の一部です。
どこにいても、あなたは地球にいるのですから。
どこにいようと、自分は地球にいるのだと、認識して下さい。
目の前に、リンゴがあれば、それはリンゴだと認識するでしょう。
それと同じように、今自分がいる所は、地球なんだと認識するのです。
それで、その地球に対して、こう呼びかけて下さい。
お母さん。
地球を意識しながら、お母さんと呼びかければ、あなたの中に、明らかにそれまでとは異なる感覚が、生まれると思います。
それは、あなたのお母さんである、地球の存在を感覚的に、とらえたものです。
自分が地球とつながっているという、感覚的な認識です。
それがわかれば、母なる地球という言葉に、私が違和感を覚えることが、わかってもらえると思います。
実際の母親のことを、他人に伝える時に、私の母なる人間ですとは、言いませんよね。
それと同じことなのです。
地球という言葉を使う時点で、自分と地球を分離しているのです。
つながりを感じる時、自分と相手を区別する名前は、必要ありません。
大きな大きなお母さんを、感じてみて下さい。