終わっていなかった南北戦争
先週発生した、トランプ支持者による、アメリカの議会議事堂への乱入事件を見ると、アメリカでは、まだ南北戦争が終わっていなかったんだなと、痛感させられました。
アメリカの南北戦争は、黒人奴隷を巡って、アメリカの北部と南部の州が戦ったものです。
とは言っても、元々は工業中心の北部と、農業中心の南部の、産業構造の違いによる対立が、根底にあり、黒人奴隷に問題は、そこに絡められたものでした。
南北戦争は北部が勝利を収め、それによってアメリカは一つにまとまりました。
黒人奴隷も解放されることになったのですが、相手への無理解や自己中心主義、黒人を見下す差別問題は、現在に至るまで残り続けています。
今回の乱入事件は、そういったものが、一気に噴き出したものでしょう。
火山が周期的に爆発するのと同じように、人々の心の中に蓄積していた歪んだ思いが、トランプ大統領をきっかけにして、再び爆発したのです。
彼らはトランプ信奉者を装っていますが、本音はトランプ信奉者などではありません。
彼らが信奉しているのは、自分だけです。
トランプ大統領は怒りを爆発させるための、きっかけに過ぎません。
別の言い方をすれば、トランプ大統領は、彼らに利用されたのだと思います。
宗教の原理主義テロリストが、神の名を使って人を殺すのと同じです。
彼らはトランプ大統領を利用して、自分に都合の悪い世の中を、ひっくり返そうとしたのです。
南北戦争のあと、アメリカは一つにまとまったように見えましたが、結局は形ばかりの統一で、心の中はバラバラだったということでしょう。
それは北部と南部が、バラバラのままということではありません。
北部の人たちの中にも、差別主義者や自己中心的な者は、少なくないでしょう。
元々北部の人全員が、黒人に対する人権を、真剣に考えていたはずがないのです。
もしそうであるならば、現在のアメリカの北部地域では、全ての黒人市民が貧困や差別による、苦しみから抜け出していたでしょう。
アメリカ全体で、人々の心がバラバラになっているのです。
今の世の中は、コロナウィルスによる騒動のせいで、人々が本性をむき出しにしています。
本性を隠していれば、表面的な融和や妥協を、行うことができたでしょう。
しかし、これだけ本性を露わにしていると、見せかけの妥協もできません。
とことんぶつかり、争うしかできないと思います。
20日のバイデン次期大統領の就任式までに、全米およびワシントンで、武装デモが計画されているという情報を、FBI がつかんでいるそうです。
何が引き金になって、アメリカ市民同士の殺し合いが、起こるかわかりません。
これはまさに、南北戦争の再燃でしょう。
このまま争いが続けば、どうなるのかと、誰もが心配になるでしょう。
しかし、これからの未来を背負って行くのは、若い世代です。
彼らの多くは無益な争いを、一歩離れた所から、客観的に眺めることができると思います。
どちらか一方に、肩入れしていたとしても、若いうちは頭が柔軟ですから、他人の意見を聞いたり、自分で調べたりすることで、考え方を変えることができます。
古い考え方に、凝り固まっている者たちには、むずかしいかもしれませんが、若い人たちであれば、理解ができるでしょう。
本当に大切なものは、何なのか。
人を傷つけてまで、自分の意見を押し通すことが、そんなに大切なのか。
世界中に対して向けられた、この問いに、若い世代であれば、答えられるに違いありません。