思いがけないこと
香川には、しょうゆ豆という特産品があります。
香ばしさと醤油の味で、とても美味しい物です。
このしょうゆ豆には、次のような由来があります。
昔、お遍路さんを接待しようとしていたお婆さんが、そら豆を煎っていた時に、豆の一つが飛び出して、近くにあった醤油の壺に、ちゃぽんと入ってしまいました。
しばらくしてから、お婆さんがその豆を拾って食べてみると、固い豆が柔らかくなり、醤油の味が染みて、とても美味だったと知ったのが、しょうゆ豆の始まりだとか。
高知には、帽子パンという有名な菓子パンがあります。
麦わら帽子のような、ツバがついた形のパンなので、こう呼ばれています。
このパンも、元々はメロンパンになるはずが、製造過程で失敗し、帽子みたいな形になったのだとか。
本当は失敗作なのですが、その形が面白いので、さらに改良を重ねて、商品化したところ、大人気のパンになったそうです。
これらの事は、思いがけない偶然が、成功に結びついた話です。
嫌なことがあった。
仕事が続けられなくなった。
病気あるいは怪我で、それまでとは違う暮らしを、余儀なくされた。
こんな感じで、それまで頑張って来た人生が、だめになってしまったと言う人は、結構いると思います。
しかし、その結果、新しい仕事が見つかったり、新しい仲間と出会えたり、一生を共にする人と、巡り会うということもあります。
その人たちは、運がよかっただけだと、思うでしょうか。
そもそも運というものが、あるのでしょうか。
ある状況を、ただの失敗と受け止めるのか、そこに何か新しい発見をするのか、それは人それぞれです。
しかし、新しい事を見出すのは、偶然でも何でもありません。
それは、その人がそういうチャンスを見逃さないよう、自分の周囲にアンテナを広げていたからです。
同じ状況にあっても、気がつかない人は、何とも思いません。
常に好奇心を働かせて、刺激的な情報がないかと、探っている人には、様々なことが新しい世界への、入り口になるのです。
自分には何もいい事がない、面白いことや発見など、自分には全く縁がない、と考えている人は、思いがけないことが目の前で起こっても、気がつきにくいでしょう。
突然、仕事をクビになるとか、大病や大怪我になるなどという、思いがけないことであれば、見逃すことはありません。
しかし、そこに見いだせることと言えば、何で自分だけがこんな目に遭うのかという、怒りと不安だけだと思います。
新たな展開が始まっているとは、思いも寄らないでしょう。
昔の人は、転んでもただで起きるなと、言ったものです。
一見、災難に見えるような状況にも、必ず何かが隠されているというわけです。
それを見つけて起きるのか、何も見つけられず、不満だけを口にして起きるのか。
あるいは立ち上がることすら、放棄してしまうのか。
いずれにしても、思いがけないことは、誰にでも、いろんな場面で起こっています。
それをポジティブにとらえて、人生に活かせるかどうかは、その人次第なのです。