昨日の自分 今日の私 その1
私たちは昨日と今日の自分が、同じ自分だと認識しています。
そんなの当たり前じゃないかと、誰もが思うでしょう。
それはそうなのですが、どうしてそう思うのかを、検討してみたいと思います。
まずは、記憶の保持ですね。
昨日までの記憶が、今日になっても、そのまま残っている事がポイントです。
それによって、昨日の世界と今日の世界が、連続していると認識されるのです。
もし朝目覚めた時に、昨日までとは違う記憶を、持っていたらどうなるでしょう。
恐らく、まだ夢を見ていると考えるか、違う世界に迷い込んだと、受け止めるのではないでしょうか。
この場合、自分は何も変わっていないと、いう事が前提になっています。
夢の世界は、現実世界とは違います。
迷い込んだ世界は、慣れ親しんだ現実世界とは、別の世界です。
つまり、自分は何も変わっていなくて、世界の方が変わったという認識です。
自分の記憶が変わったとは、普通は思わないでしょう。
記憶とは変化しないものと、理解しているからです。
記憶とは別に、昨日と今日の自分が、同じだと考える理由は、自分の性格です。
性格とは、その人の思考パターンと、言い換える事ができます。
ある出来事や状況に遭遇したり、何かの対象物などを目にした時に、どのような反応を示すかは、その人の思考パターンによって違って来ます。
クモを見たら跳び上がるほど、クモ嫌いな人が、何の前触れもなく、ある日突然、クモ好きになる事はありません。
自動車に全く興味がなかった人が、何のきっかけもなく、急に自動車マニアになる事もないでしょう。
一般的に性格は、自分自身を表しているものと、考えられていると思います。
だから、昨日も今日も同じ性格である事は、昨日と今日の自分が同じだと、判断する大きな理由になります。
特別な何かが起こらない限り、昨日楽天的だった人は、今日も楽天的でしょう。
同じように、昨日悲観的だった人は、今日も悲観的です。
その程度に差はあるかも知れません。
でも、根本的な部分は、昨日も今日も同じです。
変わらない記憶と、変わらない性格。
この二つが、昨日も今日も、同じ自分が同じ世界にいると、判断する根拠になっていると言えるでしょう。