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前世と生まれ変わり

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前世や生まれ変わりという話は、日本人には馴染みがあるものです。
小説や映画の題材にも、よく使われています。

ところが、前世や生まれ変わりについて、真剣に考えたり議論したりということは、滅多にありません。

幽霊の話がタブー視されるのと同じで、こういう話も真剣になることが、敬遠される風潮です。

小説や映画ではロマンを感じて憧れるのに、本当にそういうものがあるのかという話になると、日本人は一気に腰が引けてしまうようです。

人生観を考えると、このテーマは非常に重要です。

家でもどこでも、とことん議論するべきだと、私は思います。

それなのに、日本では滅多に話題に取り上げられません。

テレビで取り上げることがあっても、幽霊や UFOと同じで、バラエティ番組で茶飲み話の話題にされるだけです。

ところがアメリカには、このテーマに大真面目に取り組んだ、大学の先生がいたのです。

それは、アメリカのヴァージニア大学精神科の、主任教授を務めていた、イアン・スティーヴンソン博士です。

スティーヴンソン博士は2007年に、89歳で亡くなられましたが、生前は生まれ変わりについて、研究をされていました。

前世の記憶を持つ者がいるという情報をつかむと、博士は世界中どこにでも飛んで行き、その人物の調査をしました。

そして、その人物の記憶が正しいか、前世で暮らしていたという土地を探し、そこに住む人たちに話を聞いて、話の真偽を確かめたのです。

前世を覚えているのは、大抵が子供です。

子供たちが「前世」のことをしゃべり出すのは、2歳から5歳頃までと言います。
その後、8歳までには、しゃべるのをやめるようです。

博士の下に情報が届いた時には、子供が前世の記憶を語ってから、何年か経っていることもあるので、子供が記憶を失う前に、大急ぎで調査をする必要があったようです。

その研究結果は、日本でも『前世を記憶する子供たち』という本で、発表されています。

子供がしゃべる前世の話は、前世で死んだ時の様子や、そこにいた人や周囲の様子、死んでから生まれ変わるまでの間のこと、などです。

ぼんやり覚えている子供もいれば、多くのことをはっきりと、覚えている子供もいるそうです。

その中には、現世の暮らしに馴染めず、前世の家族の所へ帰りたいと、訴える子供もいるようです。

現世の家族がその子供の話を聞いて、前世の家族に会いに行ったという話もあります。

子供は前世の家族や家のことを覚えていて、そこの家族も、その子が死んだ者の生まれ変わりであると、認めたと言うのです。

 ※allenrobertさんによるPixabayからの画像です。

前世の記憶を持つ子供の大多数は、事故死や殺人などで、突然命を失ったケースが多いようです。

そういう子供は、特定の乗り物や武器などに、恐怖感を表すそうです。

また、前世で死ぬことになった大きな傷が、生まれ変わった体では、大きな痣や欠損になっているということも、少なくないようです。

さらには、前世で暮らしていた国の言葉を、喋るというケースも、例は少ないですが、あるのだそうです。

それについては、サトワント・パスリチャ氏の『生まれ変わりの研究』に紹介されています。

サトワント・パスリチャ氏は、インド国立精神衛生神経科学研究所の助教授です。

スティーヴンソン博士の調査研究に参加し、その後、独自の研究を続けた方です。

二人の調査は、公正で誠意のある研究であり、二人の意見には高い信頼性があります。

その二人が控えめな表現で、前世や生まれ変わりの存在を、示唆しているのです。

それを信じられないというだけの理由で、否定することは、自らの知性を放棄するのと同じでしょう。

どちらの本も、研究発表としての本ですから、読み慣れない人には、少しむずかしく見えるかも知れません。

それでも読んでみると、二人とも可能な限り客観的な立場に立ち、集めたデータを冷静に分析しているのが、わかります。

この方たちは好い加減な研究者ではなく、真面目で独自性があり、人一倍の勇気を持った科学者です。


生まれ変わりの話には、日本人のケースもありました。

前世の記憶を持つ子供の話は、東南アジアや西アジア、西アフリカに多いようです。

これは前世や生まれ変わりを、信じる文化が関係しているかも知れません。

そういう地域では、子供が変わったことを言い出した時、もしかしたら誰かの生まれ変わりかも知れないと、考える人が多いと思われます。

そう考えなければ、単に子供が面白いことを言ってるよと、笑って済ませてしまうはずです。

また、これらの地域はヨーロッパやアメリカに比べ、子供の死亡率の高さや、治安や衛生面の悪さなどで、突然死を迎えることになる者が、多いのかも知れません。

 ※BessiさんによるPixabayからの画像です。

小さな子供がわけのわからないことを、喋るということは、よくあることです。

しかし、それが前世の話かも知れないという発想は、日本人にはありません。

子供が舌足らずの言葉で、何か言い出した時に、笑うことなく、真面目に話に耳を傾けたら、面白いと思います。

案外生まれ変わりを、示唆するような話が、結構出て来るかも知れません。

もし前世を喋る子供が現れて、その言葉が正しいと証明されたなら、人々が驚かされるのは、間違いないでしょう。

そういう例が一つだけだと、不思議なこともあるもんだね、で終わってしまうかも知れません。

しかし、同じような話がいくつも出て来れば、これはただ事ではないぞと、考える人が出て来るでしょう。

数十例も、前世を記憶する子供の話があれば、間違いなく前世はあると、ほとんどの人が考えるようになると思います。

こういうことは、学者の専門と決めつける必要はありません。

自分の身近に、幼い子供がいる人は、その子供の話を、よく聞いてあげるようにしていれば、すごい話を聞くことになるかも知れません。

 ※Free-PhotosさんによるPixabayからの画像です。