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昆虫の一生

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 ※dokintaさんによる写真ACからの画像です。

今朝は、たくさんのクマゼミが、シャワシャワと元気に鳴いていました。

すぐ近くの木から、賑やかな鳴き声が聞こえるので、どこにいるのだろうと探しました。
しかし、なかなか見つかりません。

それでも、どこかにいるはずだと、木の幹や枝をじっくり見ていくと、いましたいました。
お尻を振りながら、鳴いています。

何だか、宝箱でも見つけたみたいな、満足感に浸りながら、しばらくクマゼミを眺めていました。

子供の頃に、よく見かけたセミは、アブラゼミやミンミンゼミです。

クマゼミは図鑑などで見るだけで、本物は見たことが、ありませんでした。

でも大人になり、愛媛で暮らすようになってから、クマゼミをよく見かけるようになりました。

そして、どうしてここでは、よくクマゼミを見かけるのだろう、と考えました。

それで気がついたのですが、クマゼミが鳴くのは、どうも午前中だけのようなのです。

シャワシャワという、バルタン星人のようなセミの声は、お昼を過ぎると、ジーっというアブラゼミの鳴き声に、変わっていたのです。

子供の頃に、虫取りに出かけたのは、いつもお昼だったように思います。

それでアブラゼミしか、目にしなかったのかと、50年も経った今頃になって、ようやく納得できました。

ところで、セミは何年も地中で暮らし、それから地上に出て来ると、1ヶ月ほどで死んでしまうと言います。

ちなみに、クマゼミが地中で暮らす期間は、5~6年だそうです。

アメリカには、ジュウシチネンゼミというセミがいると聞きました。
このセミは名前どおり、17年ごとに一斉に、土から出て来るそうです。

17年というのは、セミの幼虫が土の中で、暮らす期間という意味だけでありません。
セミの成虫が、17年ごとにしか現れない、ということでもあるのです。

17年に一度しか、見ることができない、とても珍しく興味深いセミなのです。

このセミも地上に現れたら、数週間しか生きられません。

そのわずかな間にする事とは、交尾をして子孫を増やすことです。

セミの一生はほとんどが土の中で、生存期間の大半を過ごします。
地上にいるのは、ほんのわずかな間だけです。

 ※白紙のノートさんによる写真ACからの画像です。

人間はセミを見て、地中にいる間を幼虫、地上に出て来て、飛べる形になったら成虫と、呼び分けています。

人間で言えば、幼虫は未熟な子供で、成虫は成熟した大人ということになります。

でも、これは人間の勝手な解釈で、実は幼虫と呼ばれる形態こそが、セミの本来の姿なのではないかと思うのです。

蝶や蛾なども、芋虫と呼ばれる幼虫時代を過ごした後、サナギになって、それから羽の生えた成虫となります。

羽が生えた姿になるのは、子孫を残すために、交尾相手と巡り会わねばならないからでしょう。

また、幼虫が食い散らかした所とは、別の場所に移動して、卵を産む必要があるのだと思うのです。

成虫は大人と言うより、子孫を作るための特殊形態と、考えた方がいいかも知れません。

セミや蝶たちが、人生ならぬ虫生を謳歌しているのは、幼虫と呼ばれている時期なのではないかと、思えて仕方がありません。

人間とは全然違う生き物ですが、セミたちは生きるという事を、黙々と実行している存在だとわかります。

自分は何のために生きているのか、なんてことは、考えていないでしょうね。

人は人生の目的というものを、考えたくなります。

それを考える事は、悪い事ではありません。
目的が見えれば、それは素晴らしい事だと思います。

でも一方で、人生の目的を考えてもわからないと、悩んだり投げやりになったりする人も、いるかも知れません。

そんな時は、セミたちの幼虫のように、とりあえずは黙々と命を謳歌してみるのも、いいのではないでしょうか。

考え過ぎて生きる事自体を、疎かにしてしまうより、まずは懸命に生きる事が、大切だと思います。

懸命に生きていると、きっと、人として生きるという事が、見えて来ます。

それが見えれば、自分らしい生き方や人生の目的が、わかるでしょう。