前を向こう その1
嫌な思い出があると、昔を思い出したくないものです。
だけど、どうしても思い出してしまい、前へ進めなくなります。
嫌な思い出、特にとても心が傷つくような思い出は、くさびのように胸に深く突き刺さっています。
時の流れに乗って、そこから離れようとしても、嫌な思い出はくさびに付いた鎖をぐいっと引っ張り、すぐに当時に引き戻そうとします。
このくさびを抜こうと思っても抜けません。
逃げようとすればするほど、胸に刺さったくさびは、その人を強く後ろへ引き戻します。
何もかも忘れて自由にしたいのに、そうなれないことで、気持ちは焦り、うろたえ、混乱し、疲れ果ててしまって、人生そのものをなかったことに、したくなってしまいます。
だけど、この嫌な思い出やくさびから解放されるなら、人生を放棄する必要はありません。
実はこの苦しみから抜け出すことはできるのです。
では、どうすればいいのでしょうか。
それは、自分が悩み苦しむ本当の理由を探ることです。
解放されるわけがないと思っているから、悩み苦しむわけですが、まずは、その思い込みを手放しましょう。
そして、本当の問題がどこにあるのかを、よく見極めるのです。
問題の在処がわからない限り、その解決策は見つかりません。
人は、自分を傷つけた事柄を問題だと捉えます。
そのため、その問題の解決は、自分を傷つけた相手や状況が、自分に詫びるとか、何らかの補償をするなどという形で、行われるものと理解しています。
しかし、本当にそのようなことで、心の傷が癒えるのでしょうか。
表向きには、相手から謝罪をされ、何らかの補償をされたとしても、その時についた心の傷は、一生残るでしょう。
謝罪も補償もない状況と比べれば、それらがあるだけましに思うかもしれません。
でも、それはましと言うだけのことであって、本当の解決にはならないのです。
では、本当に解決するには、どうすればいいのか。
全ての答えは、自分自身の中にあります。
本当の問題も、本当の解決も、自分の心の中にあるのです。