映画の早送り
先日、知人から最近の若者が、映画を早送りで観るという話を聞きました。
言われている意味がわからず、どういうことかと訊ねると、映画の内容を短時間で知るためだと言われました。
どうして、そのようなことをしたがるのかと聞くと、仲間うちで話題の映画の話が出た時に、それについて行くためとのことです。
結局、話に加われないと、仲間はずれになってしまうということと、映画をまるまる見て中身を知るのは、時間の無駄だという考えのようです。
でも、これは映画を観たとは言えません。
映画の内容についての、情報を集めたというだけのことです。
誰かが内容を簡略に書いてくれたものがあるのなら、映画を早送りするよりも、そちらを選ぶに違いありません。
恐らく、早送りで観る映画自体は、その人にとっては、興味の対象外なのでしょう。
本当に観たいと思った映画であれば、じっくり鑑賞するはずです。
早送りするのは、観たくもない映画だけれども、話題について行くために、仕方なく観る必要に迫られたからでしょう。
本当の問題は映画の早送りではなく、仲間うちの話題について行くために、このようなことをしなければならない、という状況にあると思います。
別に興味がないのであれば、いくら仲間がその話題で盛り上がっていたとしても、自分は違う所で好きなことをしていればいいのです。
それで文句を言うのであれば、そんなのは本当の仲間ではありません。
さっさと、そこから離れて自由になった方がいいでしょう。
ところが、そうはしないで無理にみんなに合わせようとするのは、何か理由があるのだと思います。
もしかしたら、その仲間から離れると、居場所がないと思っているのかもしれません。
あるいは、仲間と違う行動を取ったり、仲間から離れるようなことをすると、あとでSNSなどで叩かれると、恐れているかもしれません。
いずれにしても、それは自分一人で生きて行くことに、自信がないということでしょう。
それに、自分が他人の目にどのように映るのかということを、とても重要視しているのだと思います。
でも、それではいつまで経っても、本当の自分、本当の人生を堪能することはできません。
他人の目なんか気にせずに、我が道を行くという生き方を、目指した方がいいでしょう。
映画を早送りで観ることは、時間の無駄を省いているつもりなのでしょうが、早送りをしてまで、観なくてもいい映画を観ることの方が、人生において無駄な時間だと思います。