洗脳を解く その5
何かに思い悩んで、身動きが取れなくなっている人。
そんな人は、自分を縛り付けてしまう価値観を、すり込まれています。
たとえば、ブラック企業に就職して、毎日の労働がとてもつらい。
仕事だけでなく、職場での人間関係も悪くて、そこを抜け出したいけれど、抜け出す自信がない。
自分なんかが、ここを辞めたところで、就職難の時代に、もっといい仕事が見つかるとは思えない。
自分には大した学歴もなければ、資格もないから、ここ以外の所で雇ってもらうのはむずかしい。
自分が辞めたら、他の人たちに迷惑がかかる。
そんな風に考えてしまうのは、そのように思い込まされているからです。
その考え方が、あたかも世間の常識であり、物事の真理であるかのように、受け止めてしまうと、それに合わない自分の方が悪いのだと、考えてしまうのです。
また、似たような職場を転々とすると、自分で取り込む情報は、どこも似たようなものになってしまいます。
これで、世の中はどこも同じだと決めつけてしまい、新たな仕事を探す努力を、放棄してしまうこともあります。
これも言ってみれば、集団による洗脳と言えるでしょう。
同じような考えを持つ者ばかりが集まっている所にいると、その人たちの考えが全てのように思えてしまうのです。
別に相手を洗脳するつもりなんかないでしょうけど、世の中なんてこんなもんだぜ、と先輩風を吹かせて新人に吹聴すると、その言葉は新人にとって、とても重い足かせになってしまうのです。
自分がゆがんだ価値観で洗脳されていることに、気がついていなくても、つらいものはつらいのです。
ですから、自分がつらいと思った時には、自分は何か洗脳されているのではないかと、疑ってみることです。
特に、自分が常識だと思っていることは、全て疑ってみることでしょう。
この世界に、本当の常識なんて存在しません。
常識というものは、あくまで地域限定、あるいはメンバー限定のものなのです。
今のつらい状況から抜け出すために、こうすればいいじゃない、と誰かが助言したとしましょう。
その時に、そうできればいいけれど、だってこうだからできないよ、と答えたとします。
この、だってこうだから、というここに、洗脳された考えが潜んでいます。
何でそう思ってしまうのか。
そこを突き詰めて考えてみるべきです。
そして、自分が絶対に従わなければならないと信じていた考えが、別に従わなくても大丈夫だとわかれば、その途端にその人は束縛から解放されて、自由になれるのです。
あの人がこう言ったからとか、昔からこうだったとか、どこでもこんな感じだ、なんていうのは、何の根拠にもなりません。
その考え方が採用された時には、それなりの理由があったかもしれませんが、時代や状況が変わってしまうと、その考えを持続する意味がなくなります。
それなのに、ずっとこうして来たからという理由で、同じ考えを未だに続けていることが、かなりあると思います。
たとえば、猛暑の中で水も飲まずに、運動を強要されることがあります。
指導者は、自分が若い頃は、この程度で水を欲しがったりしなかったと言います。
でも、昔と今では暑さが違います。
それに、暑い時に水を飲まないことを美徳とする考えが、我慢が美徳というゆがんだ価値観に基づいているのです。
他にもいろいろありますが、こんな感じで洗脳されたゆがんが価値観が、いろんな悩みや苦しみの原因になり得るのです。