本当の試験 その4
試験の点数が悪い子がいたならば、本当は先生も、一人一人に丁寧に教えてあげたいと、思っているでしょう。
でも、それができないのが、今の教育現場の現状です。
決められた時間内に、決められただけの授業をこなさなくてはなりません。
それでついて来られない子供がいたとしても、それは仕方がないと見なされるのです。
結局、教育システムを作っている人たちの中には、本物の教育者がいないのでしょう。
また、子供は国の宝だと言いながら、本気ではそう思っていないのです。
あるいは、宝という言葉の意味を知らないのかもしれません。
未来を担うのは、今の子供たちです。
今の世の中がおかしいのを、変えて行けるのは、今の子供たちです。
それなのに、その子供たちを、今のゆがんだ教育体制の中で育てるというのは、矛盾ではないでしょうか。
学校は社会の縮図です。
試験というものも同じです。
決められた科目の点数で、その子の評価をするということを繰り返しながら、いい社会を目指すなんてことは、できるわけがありません。
国を変えるのは政治家ではありません。
子供たちです。
いろんなしがらみに縛られたり、私利私欲の塊になった政治家には、国を変えることはできません。
変えようとすると、かえっておかしくなって行くばかりです。
それでも彼らにできることはあります。
本気でやろうと思えばですが。
それはまず、子供たちに未来を託すという想いです。
この気持ちがなくては、何も始まりません。
そして、新しい世の中を作れるような子供が、育つ環境を整えてやるのです。
それでも、少数の政治家ががんばっても、なかなか物事は変わりません。
多くの政治家たちは変化を好みません。
これまでどおりのことを続け、自分たちが政治家である間に、大きな問題が起こらないようにしようとするからです。
今の社会の問題を認識していながら、そんなのは大したことではないと考えています。
大きな問題だと思っていれば、とっくに法改正するなどして、解決を図ろうとするでしょう。
でも、実際はそうはなっていません。
全ての問題が後手後手です。
子供の教育も、これまでどおりの社会を維持するのに、利用できる大人にするためのものだと、考えているのでしょう。
だから、いつまで経っても、同じことの繰り返しなのです。
でも政治家を選ぶのは、私たち国民です。
いい社会を作るためには、どうすればいいのか。
自分たちはどうあるべきなのか。
それを一人一人が自問しながら、子供たちが育つ環境を、整えて行くことが求められていると思います。
それがうまく進んで行った時、試験というもののあり方や価値が、今の試験とは全く違うものになっていることでしょう。