原爆の話 その2
原爆を持つようになった背景には、戦争になっても負けない国であろうとする、国の指導者や国民たちの意思が働いています。
その根底には、いつ戦争になるかわからないという、不安や恐れがあるのです。
どうしてそんなことを不安に思ったり、恐れたりするのでしょうか。
それは過去に領土を奪ったり奪われたりという、血で血を洗うような争いが、世界中の至る所で、繰り広げられて来たからです。
国土が狭い日本においても、かつては多くの城主がいて、互いの領土を奪い合っていました。
また小さな村同士でも、水や土地を巡って、人が死ぬような争いをしていました。
結局、戦争というものは、このような小さな集団同士の争いの、延長線上にあるわけです。
国同士の争いというのは、争う集団の大きさが、途轍もなく大きくなっただけです。
中身は小さな集団同士の争いと同じです。
集団というのは、大抵リーダーとなる者がいて、他の者たちは、基本的にリーダーの意見に従います。
みんなの話に耳を傾けるリーダーもいますが、自分の考えだけが正しいと信じるリーダーもいます。
みんなの話に耳を傾けるリーダーは、みんなが争いを望めば、戦いを始めます。
でも、みんなが争いは嫌だと言えば、戦うことをやめるでしょう。
一方、自分だけが正しいと信じるリーダーは、みんなを自分の考えに合わさせようとします。
どうしても合わない者たちは、粛正されるでしょう。
こうして、一応はみんなの意見だという体裁を整えて、自分の好きなようにするのです。
そうは言っても、自分に逆らう者たちが、あまりにも多くなり過ぎると、どんなに権力を振りかざしても、何もできなくなります。
戦争だって、兵士になるのをみんなが拒めば、やりようがありません。
つまり、一人一人の国民が物事を正しく考えることができれば、リーダーが誰であれ、戦争が起こることはないのです。
それこそが、世界から原爆をなくすための、唯一の方法です。