笑いの効能 その3
質の悪い笑いと、本物の笑いの違いを、風でたとえるならば、本物の笑いは自然の中にある風です。
一方、質の悪い笑いとは、フィルターのよくない掃除機の、後部から噴き出している風です。
風は風でも、心の汚れを吹き飛ばしてくれる風ではなく、却(かえ)って心の中に、目に見えないような埃を、撒き散らすような風です。
そんな笑いは、笑えば笑うほどに、心の中は汚れて行きます。
しかし、目に見えにくい汚れなので、本当は心が汚くなっているのに、当の本人はなかなかそのことに気がつきません。
でも、本当の笑いで、本当に心がきれいになれば、それまでの自分が汚れていたということに、ようやく気がつくことができるのです。
本物の笑いでは、誰も傷つくことがありません。
低級な笑いでは、必ず傷つく人がいます。
本物の笑いでは、誰かが笑われたとしても、笑われた本人も一緒になって笑うでしょう。
低級な笑いでは、笑われた人は深く傷ついてしまいます。
ところで、どうして笑うと楽しくなるのでしょうか。
それは、全く汚れていない心というものが、そういうものだからです。
私たちは、ただ存在しているだけで、幸せを感じられるようになっています。
子供を見て下さい。
いつも楽しいこと、嬉しいことを探していますし、大人から見てそんなことが楽しいの? と言いたくなるようなことでも、ずっと笑い続けています。
でも、成長して人間社会の中に組み込まれるにつれて、次第に本来の自分とは異なる価値観や考え方が、心に付着して行きます。
これが本来の自分を覆い隠して、喜びを感じにくくしているのです。
笑いは、そんな余計な考え方を吹き飛ばして、心を本来の状態に戻してくれます。
だから、本当に笑っている時は、何もかも忘れて楽しい気持ちで一杯です。
でも、笑いが止まると、すぐに元の汚れが戻って来ます。
なので、できるだけ笑える時間を作ることが大切です。
また、心の汚れとなるような考え方を、一つ一つ見つけて捨てて行くことです。
そうすれば、笑いが収まったあとも、心がすっきりした状態が続きます。
また、子供のように、ちょっとしたことで笑いが出て来て、いつでも楽しい気分になるでしょう。
楽しいことがないとか、嫌なことばっかりと思っている人は、自分の中のネガティブな考えを、捨てるように心がけましょう。
そして、自分の中にある子供心を表に出して、どんなことでも興味があれば、自分を抑えることなく、そこへ向かうのです。
ちょっとでも楽しいと思えば、遠慮なく笑いましょう。
人前であろうと関係ありません。
楽しいことを楽しいと感じることを制限しなければ、笑いは出やすくなります。
また、いろんな人たちが、懸命に生きている姿を見るようにすれば、励みの力をもらえますし、どんどん人間が好きになって行くでしょう。
それは他の人との心のつながりを強くして、多くの人と気持ちを共有することです。
気持ちの共有は笑いを生みます。
それも、大きな笑いを引き起こしてくれます。
笑いとは、本来の人間の姿、本来の自分の姿を、引き出してくれるものなのです。