何に意識を向けるのか その5
多くの人は、世の中のこと、身の回りのことに、目を向けています。
明日はどうなんだろう、将来はどうなってしまうのだろうと、これから先のことを考えてしまいます。
あるいは、前はよかったな、あの時に戻れればいいのにな、と過去を懐かしんだり、後悔したりすることもあるでしょう。
でも、その目を今の自分に向けてみて下さい。
これが自分だと思っている、その自分の奥に隠された、本当の自分というものに、目を向けるのです。
そもそも自分とは何なのか、自分という意識とは何なのか、心とは何なのかと、考えてみて下さい。
そんなことを考えたところで、何にもならないと思わないで下さい。
自分を考える、心を考える、ということは、世界について考えることと、同じだからです。
自分がどうして、この時代でこのような状況の中で生きているのか、答えられる人はいないでしょう。
その自分や自分の暮らしは、世界の一部となっています。
ですから、世界を知るということは、とても大切なことなのです。
世の中はこうなんだぞ、と誰か偉い人が言ったとしても、本当にそうなのかは、自分で判断しなければなりません。
そうでなければ騙されて、いいように使われてしまうかもしれません。
自分と世界は繋がっていますから、自分を知ると、世界を知ることができるのです。
そうすることで、本当の自分の生き方というものが、わかって来るでしょう。
普段していないことでしょうから、すぐに答えは出ないと思います。
それでも考え続けて下さい。
また、感じ続けて下さい。
世の中のゆがんだ価値観をシャットアウトして、一度思考を止めて、ぼんやりと自分の存在だけを感じるのです。
それこそが本当の自分であり、本当の自分がどうありたいのかということも、言葉とは違った感覚として、そこに秘められています。
また、他の人や他の生き物、他の存在たちにも、同じように本当の姿があるわけです。
そういう存在たちの、本当の姿を理解して、感じられるようになれば、自分が他の人たちや、世界とつながっているということがわかります。
そういう意識を持てるようになった時、目の前に並べられたいろんな物から、どれを選ぶのか、何に意識を向けるのかが、それまでとは全く違っていることでしょう。