本当の強さ その2
そもそも強いとか弱いというものは、何かを基準とした時に、初めて言えることです。
基準がなければ、強いも弱いも言えません。
力比べをする場合、相手よりも大きな力を出せた方が強いとすれば、どちらの力が大きいかということが、強さの判定の基準になります。
AさんとBさんが力比べをして、Aさんの方がBさんよりも力が大きければ、Aさんの方が強いと言えます。
しかし、だからと言って、Aさんが強い人なのかと言うと、そうではありません。
あくまでも、Bさんと比べて力が強いというだけの意味合いです。
Aさんよりも、もっと大きな力を持つCさんと、力比べをしたならば、AさんはCさんには勝てませんから、力が弱い人だということになります。
では、Aさんは弱い人なのでしょうか。
そうではありませんよね。
あくまでも、Cさんと比べれば力が弱いというだけの話です。
つまり、力が強いから強い人なのかと言うと、それは誰と比べるかという条件付きの話であって、本当に強いとは言えません。
権威や権力がある人はどうでしょうか。
彼らは本当に強いと言えるのでしょうか。
権威とは本人が決めることではなく、周囲の人や世間が決めることです。
あの人はすごいぞ、とみんなが認めるからこそ、権威が生まれるのです。
権威があれば、自分の意見が通りやすくなりますから、力があるように見えますが、権威が失墜するようなことがあると、あっと言う間に人々の信頼はなくなり、ただの人になってしまいます。
こんなのは本当の強さとは言えません。
権力についても同じです。
自分には権力があり、みんなを支配していると思っていても、みんながそれを受け入れてくれているからこそで、そっぽを向かれては権力なんて、すぐに消えてしまいます。
政権クーデターなんかが、そのいい例でしょう。
あるいは、悪徳企業で働いていた人たちが、一斉に反旗を翻して反発すれば、企業は存続ができません。
企業を存続させるためには、それまでの権力者が一掃される必要があります。
これも本当の強さではありませんよね。
お金を持っている人が、社会的に強いと思うのも間違いです。
大金持ちが破産することは有り得ますし、資本主義社会自体が崩壊することも、十分に有り得ることなのです。
そうなれば、いくらお金を持っていても役に立ちません。
お金を楽して稼ぐことばかりしていた人は、何の知識も経験もないでしょうから、あっと言う間に奈落の底へ落ちてしまうでしょう。
これも本当の強さではありません。
では、本当の強さとは何でしょうか。
そんなものがあるのでしょうか。