本当の故郷 その2
心が安らげる場所を故郷と呼ぶならば、心が安らげるとは、どういうことでしょうか。
それは自由でいられて、そのままの自分を受け入れてもらえている状態、と言えるでしょう。
ただ、ここで言う自由とか、そのまま受け入れてもらえる、というのには、条件が付けられることが多いと思います。
たとえば、その代わりにこんなことをしてね、とか、自分の表面的な所だけを見て、受け入れられている、というようなものです。
代わりにこうして欲しいという期待に、応えられなかったら、状況は一変するかもしれません。
また、表面的な所しか知らない相手が、こちらの本音の部分を知った時に、がらりと態度を変える可能性もあります。
無条件で本音の部分まで含めて受け入れてもらえれば、本当に心が安らぐでしょう。
そして、それこそが本当の愛と呼べるものだと思います。
いい所も悪い所も、全部ひっくるめて受け入れてもらえると、そこに生まれた時からいるような気分になるでしょう。
それが場所ではなく人であったなら、その人とは生まれる前から、一緒にいるように思えるでしょう。
その人と一緒にいれば、それがどこであったとしても、故郷にいるように感じます。
つまり、本当の故郷とは物理的な場所ではなく、心の拠り所となる、もう一つの心のことなのです。
そして、相手に故郷を感じる時、すなわち純粋な愛を感じる時、体は別々でも、心は一つにつながっています。
故郷を求める時、人の心は一つになれる、他の心を求めているのです。
心が一つだと感じられた時、人はそこに本当の故郷を見つけるわけです。
そして、これが感じられる相手は一人とは限りません。
互いを心から認め合えるなら、人数に制限はありません。
十人でも、百人でも、千人でも、心の一体感が感じられれば、お互いにみんなが故郷になるのです。