世界で唯一の存在 その5
世の中にある価値観は、個人の価値観が集まったものです。
どんなに絶対的なように見えても、結局は一人一人の考えが、集まったものに過ぎません。
世の中を動かそうとするならば、いきなり命令したり、法律を変えても、上手くはいかないでしょう。
反発する人は、ずっと反発を続けるからです。
しかし、一人一人の考え方を変えることができたなら、上から命じたりしなくても、みんなが自分の価値観に従って動いた結果、統率の取れた行動を見せることになるでしょう。
これは素晴らしいように見える一面、ある意味、恐ろしさを秘めています。
それは、歪んだ価値観で洗脳されてしまうと、その社会全体が狂ってしまうからです。
ある国が、他の国を攻撃する時に、その正当性を国民に訴え、それを信じ込ませることができたなら、国全体が戦争を正義と見なして、指導者の言うとおりにみんなが動きます。
人の命や自由を強制的に奪うことに、どんな理由をつけたところで、それが正義であるわけがありません。
それでも、人々はそれを正義と信じて、本当は自分と同じ人間で、家族や友人と楽しく暮らすことを望んでいる人たちを、敵と見なして殺すのです。
これを狂気を言わずして、何と言えばいいのでしょうか。
歴史は繰り返すと言いますが、それは人々がいつまでも同じ価値観の下で、生きているからです。
人はどうあるべきなのか。
その答えは自分の心の中にあります。
誰かに言われて決めることではなく、自分の心の中にある声に従えば、誰かと争うということはなくなるでしょう。
そして、一人一人が自分の心の声に従うことで、本来の人間として、統率された行動が取れるようになった時、そこに真の平和が訪れるのです。
もはや歴史が繰り返されることはありません。
その初めの一歩としてするべきことが、自分と他の存在は兄弟姉妹であり、いずれもが世界で唯一無二の存在なのだと、認めることでしょう。
自分の存在を認めるということは、他人の存在を認めることにつながります。
自分が自信を取り戻すということは、単に個人的な話ではありません。
その延長線の先には、本当の平和な世界が待っているのです。