NHKのプロジェクトX
先日、NHKでプロジェクトXの再放送がありました。
久しぶりに見た映像は、昔のブラウン管のサイズで、画質も今のように鮮明ではありません。
また、映っている司会の人たちが、若い若い。
自分の中では、この番組はそんなに昔のようには思っていなかったのですが、相当古い番組になったようです。
それでも放送内容は、今でも通じる素晴らしいものでした。
と言うか、今だからこそ、改めて見る価値があるものだと思いました。
私が観たのは、まだ日本でパソコンが普及する前に、富士通がアメリカのIBMに対抗して、世界最速のコンピューターを、開発した話と、ビクターの窓際族になった人たちが、巻き返しを狙ってVHSビデオを開発した話です。
どちらも現場で働く技術者たちの、意気込みや心意気を見せてくれるものでした。
彼らはお金のために働くのではなく、自分たちが描いた夢を、実現するために働きました。
何かに感動すること、何かを創り出す喜びを、とても大切にしていました。
表向きには、富士通がすごいコンピューターを開発し、ビクターがVHSを世界基準にしたと言われています。
でも実際は、会社のトップは開発は無理だと判断し、中断させようとしたり、端からそんな開発など、眼中になかったのです。
それを実現したのは、現場の人間です。
いろいろ試行錯誤をしながら、新しい技術を開発し、会社のトップを説得し、他の企業をも巻き込んで、すごい物を世に出したのです。
会社がしたことではありません。
現場の名もなき人たちが、成し遂げたことなのです。
それなのに、今はどうでしょうか。
経営のためにリストラをして、現場の人間をどんどん切り捨ててしまいます。
残った人たちも、同じ給料で人が辞めた分、増えた仕事を押しつけられて、死ぬ思いです。
世の中に新しいものを生み出す、世の中に喜びを広げたい、そんな気持ちが、今の企業にあるのかと疑ってしまいます。
今の多くの企業が考えているのは、いかにお金を浮かせて、見かけの儲けを増やすのか、ということではないでしょうか。
ただ、収益を増やす、あるいは維持する、ということにばかり終始して、自分たちの存在意義を忘れているのではないでしょうか。
今の時期、NHKがこの番組を再放送したのは、そんな企業たちに対して、企業を立ち上げた頃の意気込みを、取り戻して欲しいという、思惑があったのかもしれません。
また、末端の現場で自信を失っている人々に、エールを送っていたのかもしれません。
自分なんか価値がない、自分なんか誰も評価してくれない。
そんな風に思ったなら、自分がプロジェクトXのメンバーだと、考えればいいと思います。
この番組には、必ずピンチが現れます。
ピンチや絶望がなければ、プロジェクトXには採用されません。
もうだめだと思った時は、よし、プロジェクトXだと思い、奮起して下さい。
必ずや、その成果は現れ、人生を充実したものへと、導いてくれるでしょう。