視点を変えてみる その1
上の絵のように、上下を逆さまにすると、怒った顔が笑った顔になったり、笑った顔が怒った顔になる絵を、上下絵とか逆さ絵と言います。
そこに描かれているものは同じなのに、見る位置によって、異なる顔に見えるのが面白いですよね。
これと同じように、怖い顔をしている人が、本当は心優しい人であったり、優しそうな顔をしている人が、悪いことを企んでいたり、ということがあります。
その人の一面だけを見たのでは、その人の本当の姿はわからないということです。
富士山は日本一大きな山ですが、その富士山がどのような山なのかを説明するとなると、人によって様々だと思います。
静岡県側から眺めるのか、山梨県側から眺めるのかで、見た目の姿や背景が変わって来ます。
また、富士山を火山と見るか、単なる美しい山と見るかで、印象が違って来ます。
富士山をパワースポットととらえるかどうかでも、やはりイメージが違うでしょう。
太古からの富士山の生い立ちを知っている人と、今の富士山しか知らない人でも、富士山という存在の受け止め方は、全然違うものになります。
地上から見た富士山しか知らない人と、宇宙から眺めた富士山の姿を知っている人との間にも、富士山の印象には大きな違いがあります。
このように、何かに対する理解というものは、その人の視点や知識によって、大きく異なって来るものです。
ロシアとウクライナの戦争についてもそうですし、世界を襲う異常気象や、新型コロナウィルスの騒ぎについても、人によって様々な見方があります。
でも大抵の場合が、固定された自分の視点から見た、印象だけで判断をしているように思えます。
今の自分と異なる視点など、頭から否定して受け付けない人も、少なくありません。
しかし、本当の実態を知るためには、現在の自分の視点とは異なる視点についても、いろいろと吟味する必要があります。
その上で、改めて自分の視点を、どこに置くのかを決めるのです。
多くの人がそうすることができれば、互いに争うことをせず、その場にふさわしい考え方を、持つことができるでしょう。
今の自分の視点を、自分自身だと受け止めている人は、自分の視点を認めてもらえないと、自分が否定されたように受け止めてしまいます。
また、視点を変えたらどうかと言われても、自分を変えることなどできないと考えて、視点を変えようとしません。
そうなると、異なる視点を持つ者は、自分の敵のように思えます。
その結果、無用の争いが起こり、事件となったり、引きこもったりするようになるのです。
しかし、視点を変えても何も問題はありません。
自分が否定されるわけではありませんし、視野が広がることで、自身が大きく成長できるのです。
新たな視点を持つことができた人は、そのことを実感できます。
異なる視点を知ることで、全体的な視点を持てるようになることは、その人個人だけでなく、人類全体にとっても、とても重要なことなのです。