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不思議な世界

 わたしはパジャマ姿で薄緑色の空間にいた。
 そこは赤い風船の大群で埋めつくされた所だ。風船たちは風に吹かれながら、同じ方向に向かって進んだり止まったりしている。何故か、ここに吹く風はリズミカルだ。
 わたしはこの光景を見たことがある。だけど、いつ見たのかは覚えていない。
 風船たちは赤いけれど、少し黒っぽくくすんだ感じで張りがない。前に見た風船は鮮やかな赤色で、もっと張っていたような気がする。
 赤い風船の中には、青くてしぼんだ風船もたくさん交ざっている。だけど、これも前にはあんまりなかったように思う。
 他には黄色い手毬てまりみたいなのと、透明のつぶれた大きなビーチボールみたいなのも飛んでいる。このビーチボールみたいなのがやたら目につくけど、前にもこんなにいただろうか?
 それに吹きつけて来る風が異様に熱い。いや、ちょっと待って。これって風なの?
 ドッドッとせわしないリズムで、ぶつかって来る風のような流れ。だけど、肌に触れるその感触は風とは違う。わたしは腕を動かして確かめてみた。うん、やっぱり違うようだ。
 この抵抗感は空気じゃない。でも、だとしたら息ができないはずだ。わたしは慌てて呼吸をした。息苦しさはあるけど、息が吸えないわけじゃない。と言うことは、やっぱりこれは空気だろうか? だけど、どうも何だか液体のような気がする。
 きっと神経がどうにかなっているのだろう。頭はぼんやりしているし、身体もだるくてふわふわしている。流れの勢いは強くないけど、気をつけないと飛ばされそうだ。
 そもそも、この流れは何なのだろう? 何だか誰かが怒鳴ったり泣き叫んだりしているみたいだ。
 うなるような音が聞こえるわけじゃない。流れが身体にぶつかるたびに、怒りや悲しみの感情がわたしの心に侵入して、中を無理やりかき回すような感じがする。
 それに対して、赤い風船たちはわたしを少しさわやかな気分にしてくれる。だけど、よく覚えてはいないけれど、前はもっと爽やかだったような気がする。それに青くしぼんだ風船は、ぶつかって来ても少しもいい気分にしてくれない。
 とにかく熱くて息苦しくて、頭も身体もはっきりしない。そこに嫌な感情が勝手に湧いてくる。一言で言えば、とても具合が悪い。
 それにしても、ここはどこなんだろう? 何で、わたしはここにいるのだろうか?
 わたしは自分がどこの誰なのか思い出せなくなっていた。誰かに聞きたいけど、ここには誰もいない。わたしは泣きそうになった。でも、待って。そうだ、思い出した。
 わたしは飛んで来た赤い風船を捕まえて抱きかかえた。赤い風船はわたしに爽やかさを与えると、青くしぼんでしまった。
「ねぇ、あなた、わたしが誰か知ってる?」
 わたしは青くなった風船に話しかけた。わたしの記憶が正しければ、ここの風船たちには心があって、人間のように会話ができるはずだ。
 ――神サマ。
 頭の中で女の子の声が聞こえた。やっぱりと思って、わたしはうれしくなった。どうしてわたしが神さまなのかはわからないけど、前にもそう言われた記憶がある。何かの間違いだとは思うけど、神さまと言われて悪い気はしない。
「ここはどこなの?」
 ――ワカンナイ。
「わかんないって、あなたたち、自分がいる所のこと知らないの?」
 ――知ッテル。
「じゃあ、ここがどこなのか教えてよ」
 ――ワカンナイ。
 声は少しおびえているように聞こえた。
 わたしは風船を手放すと、別の風船を捕まえた。だけど問いかけに対する答えも、怯えている様子も、さっきの風船とまったく同じだ。
 その風船を手放して新たな風船を捕まえてみたけど、やっぱり反応は同じだった。
 どうしてわたしを怖がるのかと、その風船に聞いてみると、風船は泣きそうな声で答えた。
 ――ダッテ、神サマ、ミンナノコト、嫌イナンダモン。
 わたしは驚いた。同時に、ちょっと腹が立った。
 いったい、わたしが何をしたって言うの? わたしはここがどこなのかと尋ねているだけだ。風船たちが嫌いだなんて一言も言っていない。そもそもここのことを知らないのだから、好きか嫌いか以前の話だ。
「何でそんなこと言うの? わたし、あなたたちのこと、嫌ったりしてないよ?」
 ――嫌ッテルモン。
「嫌ってないってば。ねぇ、何でわたしがあなたたちを嫌ってるって思うわけ?」
 ――ダッテ……、ソウナンダモン。
 これではらちが明かない。わたしは違うことを聞くことにした。
「じゃあね、どうしてわたしのことを神さまって言うの?」
 ――神サマダカラ。
「だからさ、何でわたしが神さまなの?」
 ――神サマダカラ。
 わたしは頭がおかしくなりそうだった。ただでも具合が悪くて、頭がぼーっとしているのに、こんなわけのわからないのは嫌だった。
 ここがどこなのかわからない。何でここにいるかもわからない。神さまじゃないのに神さまにされて、嫌ってもいないのに嫌っていると言われる。嫌な感情は勝手に湧いて来るし、何でこんな目に遭わなければならないの?
 わたしは風船を抱いたまま泣いた。
 ――神サマ、泣カナイデ。
 風船が心配そうに言った。だけど、わたしは泣き続けた。すると、他の風船たちもわたしにぶつかりながら、同じように慰めてくれた。
 ――神サマ、泣カナイデ。神サマ、泣カナイデ。
「どうして、わたしを慰めるの? みんな、わたしが嫌いでしょ?」
 ――神サマ、大好キダヨ。
 ――神サマ、大好キナノ。
「わたしがみんなを嫌いだって言うくせに、わたしのことは好きだって言うの?」
 ――神サマ、ミンナ嫌イデモ、ミンナ、神サマ大好キ。
「だから、わたし、みんなのこと嫌ってないよ? わたしだって、みんなが大好きだよ」
 ――嫌イジャナイノ?
「言ったでしょ? わたし、みんなが大好きなの。みんな、自分の元気がなくなるのに、わたしに元気をくれようとするのだって、わたし、感謝してるんだから」
 ――ミンナノコト、好キ?
「大好き!」
 わたしは抱いている青い風船にほおずりした。
 そこへ次々に、他の風船が張りついて来たので、わたしは抱けるだけ風船たちを抱いてやりながら、大好きだよ――と言った。それで風船たちは、ようやくわたしの言葉を信じてくれたようだった。
「ねぇ、もういっぺん聞くけど、わたしがみんなのことを嫌いだって、何で思ったの?」
 ――聞コエルノ。
「聞こえる? わたしの声が聞こえるって言うの?」
 ――ウン。
「その声、今も聞こえてるの?」
 ――聞コエテルヨ。
 わたしは耳を澄ませた。だけど、わたしには何も聞こえなかった。だいたいここには音と呼べるものがない。風船たちの声だって、耳で聞いているんじゃなくて、頭の中で聞こえている。わたしがしゃべる声だって、口を動かして喋ってはいるけど、本当に声が出ているのかどうかはわからない。
 風船たちの声と、風船たちがくれる爽やかさ以外では、わたしが感じているのは、流れが運んで来る熱気と、怒りや悲しみの感情だけだ。
 この感情の正体はわからないけど、ひょっとしてこの感情を、風船たちはわたしの言葉と受け止めているのだろうか?
「ねぇ、あなたたちが言ってるわたしの声って、この流れから伝わって来る、怒ってるような泣いてるようなもののこと?」
 ――ウン。
 やっぱりそうなのか。わたしは納得すると同時に怒りを覚えた。流れが運んで来る怒りではなく、本当の怒りだ。具合が悪いから余計に腹が立つ。
 なんで風船たちが、わたしを神さまと呼ぶのかはわからない。でも何者かが神であるわたしをおとしめようと、わたしをいつわってうその言葉を広めているに違いない。
 自分たちを運ぶ流れにそんな言葉を載せられては、風船たちが怯え悲しむのは当然だろう。お前なんか嫌いだって、絶え間なく聞かされ続けているわけだから。
 それなのに風船たちは、わたしを大好きだと言う。自分たちがこれほど傷つけられていると言うのに、わたしを無条件に慕ってくれている。それだけに、わたしは偽の神が許せなかった。
 また、風船たちの純粋な気持ちにわたしは感激した。この喜びは具合の悪さも忘れさせてくれそうだ。
「ありがとう、みんな……。わたしを慕ってくれて、ありがとう」
 ――神サマ、喜ンデクレタヨ。
 ――デモ、オ前ナンカ嫌イダッテ声、聞コエルヨ。
 風船たちは喜んだり、困惑したりしていた。
「ねぇ、この流れはどこから来てるの?」
 ――アソコダヨ。
「あそこって、どこ?」
 ――アソコ。
 わたしはがっくりした。でも、相手は子供だ。気を取り直して聞き直した。
「あなたたち、どこから来たの?」
 ――ワカンナイ。
「じゃあ、どこへ行くの?」
 ――イロンナ所。
「そこへは何をしに行くの?」
 ――ミンナニ、元気ヲアゲルノ。
「わたしにくれたみたいに?」
 ――ウン。
「でも元気をあげたら、あなたたちの元気がなくなっちゃうじゃない?」
 ――イイノ。マタ、取ッテ来ルカラ。
「元気を取って来る? どこから取って来るの?」
 ――アソコ。
 もう、わたしはがっくりしなかった。風船たちは場所の名前を知らないのだろう。わたしは違う尋ね方をした。
「そこはどんな所なの?」
 ――トッテモ、キレイナ所。
「へぇ、わたしも行ってみたいな」
 ――イイヨ。ダケドネ、壊レテ、ナクナリソウナノ。
「壊れてなくなりそう? そうなったら、困るんじゃないの?」
 ――困ルケド、仕方ガナイノ。
「何で、そこは壊れそうなの?」
 ――悪イノガ、壊シチャウノ。
 この世界はわたしの想像を超えている。悪いのと言われても、それがどんな姿をしているのか、思い浮かべることができない。それが余計にわたしを怖い気分にさせる。
「その悪いのを、やっつけられないの?」
 ――ヤッツケヨウトスルケド、ダメナノ。
「どうして?」
 ――ダッテ、神サマガ……。
 風船はそこで言葉を切った。おそらく、わたしの偽物が関係しているに違いない。
 わたしに遠慮しないでいいから教えて欲しいと頼むと、風船は話を続けた。
 ――神サマガネ、ミンナノコト嫌ウカラ、ガンバレナイノ。
 思わずわたしはムッとなった。
 風船はわたしが怒っていると思ったようだ。小さな声で、ゴメンナサイ――と言った。わたしは慌てて声をかけた。
「いいのよ。気にしないで。さっきも言ったけど、わたしはあなたたちを嫌ってないし、大好きだよ。だけど、その悪いのと戦う人は、わたしが嫌ってるって信じてるのね?」
 ――ウン。死ンジャエッテ言ワレルカラ。
「そんなことまで言うの?」
 ――ゴメンナサイ。
 わたしの口調が強かったからだろう。風船は、また謝った。人間の子供だったら、頭をすくめて小さくなっていたに違いない。わたしは風船を慰め、怒ってないからと言った。
「それにしても困ったね。わたしの偽物がみんなにひどいことを言うから、みんな力が出せなくなって、そのきれいな所も壊れそうになってるんだね。そこが壊れちゃったら、どうなるの?」
 ――ミンナ、死ンジャウノ。
「そうなの? じゃあ絶対に何とかしなくっちゃ!」
 ――ドウスルノ?
「この流れを作ってる人に会って、嘘を広めないように言うのよ」
 ――ウソッテ何?
「え? 嘘がわからない? 本当じゃないことよ」
 ――ホントウッテ?
 わたしは面食らった。嘘も本当もわからないってどういうこと? だけど、風船たちの純粋さを考えると、そうかと思った。
 この世界に暮らす者たちには裏表がなくて、純粋に思ったとおりに生きているに違いない。だから、嘘をつく者などいないわけで、嘘がないから本当もないわけだ。でも、だからこそ偽の神が広める偽りの言葉に、風船たちは反発することもなく、素直に打ちのめされてしまうのだ。
 わたしは言い方を変えた。
「あのね、あなたたち、わたしをその人の所へ連れて行ってくれる?」
 ――一緒ニ行ケバ、ソコヘ行ケルヨ。
「その人って、どんな人なの?」
 ――トッテモ大キイノ。
「どのくらい大きいの?」
 ――ウーント大キイノ。
 人間の子供だったら、きっと両手をいっぱい広げて表現するのだろう。とにかく途轍とてつもなくでかい相手に違いない。そうでなければ、これだけの流れを起こすことなんてできやしないだろう。
「ところでさ、あなたたち、名前は何て言うの?」
 ――ナマエ?
「名前がわかんないの? あなたたち、わたしのことを神さまって呼ぶでしょ? わたしはあなたたちのことを、何て呼べばいいの?」
 ――ミンナ。
「それじゃあ、他の人たちと区別ができないじゃない。この流れを起こしている人と、あなたたちは違うでしょ?」
 ――ウン。
「この流れを起こしてる人や、あなたたちのことを、わたしは何て呼べばいいの?」
 ――ミンナ。
 わたしは鼻から大きく息を吸って吐いた。
「何で、みんななの?」
 ――神サマハ、ミンナノ神サマダカラ。
 なるほどと思ったけど、質問の答にはなっていない。でも、この世界では個別の名前はないのかもしれない。だから場所のことを尋ねても、わからないという返事になってしまうのだろう。
「じゃあ、行こうか」
 わたしは抱いていた風船を手放すと、周りの風船たちに声をかけた。
 流れを作る相手に会うのだから、わたしは流れが来る方を向いた。だけど、風船たちは流れに逆らえない。ふわふわ浮かびながら、流れに乗って移動している。仕方なく、わたしは流れの先へ向きを変えると、風船たちと一緒に歩き出した。
 こんなに重力を感じるものかと思うほど、身体が異様に重い。でもその一方で、ふらふらふわふわと安定感がなくて浮いた感じもする。重心が定まらないと言うか、病気になって高熱が出たときに歩くような感じだ。
 わたしは絶対病気に違いない。こんなに具合が悪いのは、病気だからに違いない。だけど寝る場所などないし、寝ている場合でもない。風船たちが苦しんでるのに、放って置くなんてできないもの。
 少し歩いたあと、わたしはバランスを失って転びそうになった。そのまま地面に突っ伏すと思ったら、わたしの身体は流れに持ち上げられて、ふわりと浮かび上がった。
「うわわ!」
 流れに身体を持ち上げるだけの力があるとは思ってなかった。わたしは驚きながら、身体のバランスを取ろうと必死に手足をばたばたさせた。だけど上手うまくコントロールができず、わたしの身体は上下左右に関係なく、くるくると回転し続けた。
 それでもいろいろ手足の伸ばし具合や、身体の丸め具合などを調節するうちに、身体を真っぐ前に向けたり、空中を上がったり下がったりするコツをつかんだ。
 そうして上手く飛べるようになると、移動がとても楽になった。じっとしていても流れが勝手に運んでくれるのだから、これはいい。
 ただ、この流れは相変わらず熱いし、嫌な感情を引き起こす。だから、自制を失わないように心の状態を確かめながら、気持ちを落ち着かせるのが骨折りだった。

 わたしの顔のすぐ横に、あの黄色い手毬がいた。
「こんにちは」
 手毬に声をかけたけど返事がない。無視されているのかと思っていると、近くにいた風船の一つが教えてくれた。
 ――ソノ子ハ寝テルヨ。
「寝てるの? 飛びながら?」
 ――スルコトナイカラ、眠ッテルノ。
 ふーん――と言いながら、わたしは眠ったままの手毬を、両手で抱くように持って観察した。見た目は金平糖み こんぺいとう たいな手毬なのに、さわって見るとゼリーみたいに柔らかい。指でぷにゅぷにゅ押してみたけど反応がない。
 もしかして死んでるんじゃないの? そう思ったとき、わたしは何かを思い出しそうな気がした。死ぬという言葉が何だか引っかかる。だけど、結局は何も思い出せなかった。むずがゆいような妙な気分だ。
 そのとき、透明のビニールの塊みたいな物が、少し離れた所を飛んで来た。それはあのビーチボールのようだと思っていた物だ。
 このビーチボールは風船たちの何倍もの大きさがあるけれど、しぼんでぺちゃんとつぶれたような形になっている。ちょうど柄のない傘が風に飛ばされているような感じだ。
 風船たちは流れが止まると動きが止まる。でも、このビーチボールは流れが止まった瞬間、広げた胴体をヒュッとすぼめて、その勢いでさらに前へ進む。次の流れが来ると、また胴体を広げて流れに乗り、流れが止まると胴体をすぼめて前進する。流れのリズムに合わせてしゅっぽしゅっぽと進む様子は、巨大なミズクラゲが泳いでいるみたいだ。
 でも、このクラゲには足がない。代わりに傘のくぼんだ側の中心に、こんもり盛り上がるような形で、大きな目玉が一つあった。
 クラゲがわたしを追い抜いて行くとき、その目玉がぎょろりと回転しながら、わたしを見た。わたしのことが気にはなるけれど、今はかまっていられないって感じだ。

 突然、目の前に大きな壁が現れた。壁と言っても、わたしたちの前に、立ちふさがっているのではない。風船の群れを二つに分ける仕切りの壁だ。
 行く手は大きな二つの入り口に分かれていて、わたしは流れに押されるまま、右手の入り口へ飛び込んで行った。
 何となく空や周囲が近くなったと思っていると、またもや二つの入り口が現れ、今度は左の入り口へ入って行った。
 こんなことを繰り返すうちに、広かった空間はどんどん狭くなって行き、やがてわたし一人が通れるぐらいの狭い洞窟のような通路になった。流れの勢いは弱くなり、わたしは地面に降りて歩くことにした。
 なんだか熱さが増して来ている。後ろから来る熱気よりも、前の方が熱く感じる。
 と思ったら、目の前に巨大な大蛇が現れた。あまりにも大きくて、怪獣という言葉でも表せない。
 その大蛇は宙りにされているのか、頭を下にして胴体が真っ直ぐ天に向かって伸びている。その姿は、わたしが知るどんなビルやタワーより、巨大で長く高かった。
 逆さ吊りの大蛇は、あんぐり開けた口で白い山に咬みついている。その姿は山をみ込もうとしているみたいだ。
 大蛇の頭は山と同じように白いけど、空に伸びた胴体は真っ赤だ。その先にある空は真っ白で、大蛇の尻尾は空に突き刺さっているように見える。
 一匹だけでも驚きなのに、ここは見渡す限り同じような大蛇が、空からいっぱいぶら下がっている。まるで大蛇の森だ。この異様な光景に、わたしは口を開けたまま固まった。