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洗脳を解く その1

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洗脳という言葉は、元々は中国から来た言葉で、朝鮮戦争で捕虜になったアメリカ兵士が、中国の収容所で共産主義を信奉するようになったという報告から、広まったようです。

wikipediaによりますと、勉強会での学習、集団学習会での自己批判、罪の意識の植え付け、罪を告白した者としない者への賞罰、によって強制的に思想を共産主義に改造したそうです。

一方で、マインドコントロールという言葉もあります。

こちらも心をコントロールされるという意味で、洗脳と似ているのですが、言葉の厳密な意味としては、両者は異なるものとされています。

洗脳の方が、強制的に違う思想や考えを持たせるのに対し、マインドコントロールの方は相手に強制とは思わせず、自然な形で相手にこちらの言うことが正しいと、信じ込ませるものです。

宗教で信者にされてしまう場合が、よく言われるマインドコントロールですね。

不安を抱えた人に、あれこれ不安を煽ったり、自分は味方だからと思わせたりして、信者に引き込んでしまうのです。

洗脳とマインドコントロールは、専門的には異なる状況に対して用いる、別の言葉ですが、本人の意図に反して、外部から影響を与えることで、その思考を変えてしまうという点では同じです。

手法が異なるだけの話で、やっていることは同じなのです。

強制的にやった場合、第三者の目で見ると、それはおかしいと言えます。

でも、自然に勧誘する形ですると、本人の自由意志に基づいてのことと、見られなくもありません。

それが詐欺事件などにつながらない限り、問題として取り上げられることはないでしょう。

そういう意味では、マインドコントロールと呼ばれる手法の方が、洗脳と呼ばれる手法よりも、巧妙かつ悪質と言えます。

辞書によれば、洗脳という言葉には、「その人の主義や思想を根本的に改めさせること」という説明もあります。

広義の意味で、強制的な洗脳とマインドコントロールを含めたものですね。

ですので、ここでは手法により区別をすることなく、誰かの思考を操作して、それが真実だと思い込ませる主義を、洗脳と呼ぶことにします。

すり込まれている思想こそが真実だと思い込んでいるので、他の考えを受け入れようとしません。

聞く耳を持たない状態にされてしまうのです。

ところで、洗脳と言うと、共産主義の強制的学習や、宗教の信者のイメージが強いですよね。

他にも、投資詐欺やブラック企業での過重労働なんかも、洗脳と言えるでしょう。

端から見て、どうしてそんなのに引っかかるのかとか、嫌ならやめればいいのに、と思うようなケースですね。

いずれも社会問題となるもので、本人をうまく誘導することで、その思考能力を奪いつつ、ゆがんだ考え方をすり込むものです。

いわば、その人自身の心を乗っ取って、自分の好きなように利用しようというものですね。

こんな事件がニュースになるたびに、多くの人が被害者は洗脳されたと考え、気の毒がるでしょう。

でも、洗脳されている人は、自分が洗脳されているとは、なかなか気がつかないものです。

事件を他人事のように思って見ている、その人自身も、実は何かの洗脳を受けているかもしれません。

いや、実際かなりの人が、自分では気がつかないまま、いろんな価値観を洗脳されているのです。